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選手インタビュー

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選手インタビュー vol.5 田原 圭祐2009年11月13日

キヤノン ラグビー フットボール クラブ 選手インタビュー
vol.5 田原 圭祐(たはら けいすけ) 『目標は全試合フル出場』


◆偉大な先輩

――第4節のセコム戦、後半11分のトライの時、ギリギリまで相手をひきつけてからのパスは素晴らしかったですね?

パス自体はミスしてしまったんですが、ウイングのマノ(ロマノ・レメキ)がうまく処理してくれたんで助かりました。僕はパスした時にやっちゃったと思いました。もう少し余裕があったほうが良かったですね。

――キヤノン入社は今年ですよね?

そうですね。

田原選手

――キヤノンに入社した理由は?

本当は地元の愛知で就職したかったんですが、明治大学の先輩を通じてキヤノンがラグビーを強化し始めるということを聞いて、その先輩から佐藤GMに紹介していただいて、それからセレクションを受けて入社となりました。

――同じ明治の大先輩である永友さんがヘッドコーチ(以下HC)というのは知っていたんですか?

永友さんがHCをするとは入社する直前まで知りませんでした。

――永友さんがHCに就任するというのを聞いてどう思いました?

大学の時には一度しかお会いしたことがなく、つながりは特になかったんですが、それを知った時にはちょっと複雑な気持ちでした。同じ明治で、同じスクラムハーフというポジションで偉大な先輩なので良い意味で複雑というか。厳しく指導してもらえるんだろうなあといろいろな妄想をしちゃって、「なかなかしんどいラグビー人生になるなあ」って考えました(笑)。

――実際入社してみてからはどうでしたか?

よく言えば可愛がってもらっています。ただ元々すごい選手というだけあって、求めているものが高いレベルなので、HCからすると全ての面で「まだまだだなあ」と考えられていると思います。そう考えると日頃の練習からプレッシャー感じますよね。

――特に今、アドバイスを受けていることは?

パスだけでなくキックだったり、あとボールを捌くテンポやランプレーなどの技術的なことはもちろん、フォワードに対してのコントロールの"声"ですね。よくフォワードとバックスに別れて練習をする時に、フォワード側に付けと言われるんですが、その練習の中で「声出せ」ってよく言われます。言われてから出し始めるんですが、やらされるのではなく、自分から声を出していかないといけませんね。

田原選手

――実際の試合ではその辺りは出来ていますか?

自分では試合になってスイッチが入ると出来ていると思います。試合の時くらいの音量を練習の時に出すことに、自分の中で何か抵抗があって、練習では遠慮してしまっています。

――逆にHCから褒められることは?

公式戦の試合後、勝っても負けても「よくがんばった」というような、大体やさしい言葉をかけてもらっています。春のオ-プン戦の後はダメ出しばかりでした。間違ったことは言われてないですが、凹むことがありました。

――HCは試合中大きい声で選手に声を掛けていますね

試合後にビデオで試合を見直した時にHCの声に気がつくんですが、試合中は全く聞こえないんです。

◆学生時代

――ご出身は

愛知の名古屋市です。

――ご兄弟は

4人兄弟の3番目です。

――子供のころはどんなスポーツをやっていましたか

小学生のころはサッカー、陸上、バスケ、水泳などいろいろとやっていました。その中でもバスケが好きだったので、中学に行ってもバスケをやるつもりでした。しかし、兄が中学でラグビー部のバイスキャプテンをやっていて、その流れで親にも勧められて中学からラグビーを始めました。最初は仕方なく始めた感じです。正直やりたくなかったです。

――中学の時のポジションは?

中学の時からずっとスクラムハーフです。

――実際ラグビーを始めてみて、楽しかったですか?

先輩たちがスクリューパスを放っているのを見て、それを見よう見まねで練習して回転がかかるようになってから、パスは面白いなって思い始めましたが、間近でタックルのシーンとかを見たりすると、「やっぱり向いてないな」、「この体では正直無理だな」と思いました。
しかし、「どうやったら小さい奴が大きい体の奴に勝つことが出来るか」ということを考えるようになり、徐々にスクラムハーフとしての役割も分かるようになってきました。そして、小さい選手には小さいなりの強みがあるんだと分かり、大きい選手を抜いたり、相手の裏をかいたりした時は気持ち良かったですね。
またチームとしても強くなっていき、中学3年の時に県大会に優勝したということもあってラグビーが楽しくなりましたね。

田原選手

中学時代


――高校ではどうでしたか?

春日丘(はるひがおか)高校のラグビー部は、結構ガチガチ系の練習をやっていました。

――ガチガチ系とは?

パスで繋ぐとかではなく、「迷ったらとにかく突っ込め」というような、良く言えば明治大学の「前へ」という感じでした。

田原選手

高校時代


――その時はキャプテンなどをしていましたか?

一応僕がキャプテンでした。先輩が引退する時に先輩から推薦されてキャプテンになりました。

――キャプテンシーがあるんですね?

全くキャプテンタイプではないです。

――それではチームをまとめるのに苦労しましたか?

プレーでチームを引っ張っていくのはそんなに苦労しなかったんですが、試合前などにチームのモチベーションを上げるために熱い気持ちを表に出すというか、みんなに熱い気持ちを伝えるというのが苦手で、同期の3年生に「俺はプレーでチームを引っ張っていく。感情的な部分で引っ張るのはあまりうまくないから、そこをサポートして欲しい」という話し合いをしていました。

――そのころから大学でもラグビーをプレーすることを考えていましたか?

正直なかったですね。上京することも考えていませんでした。中学から高校、そして大学、社会人と人生の分かれ道の時に必ずラグビーはやらないって決めていたんですが、結局今まで続けています。高校を卒業する時に監督に進学について相談している時に、監督から「大学でもやってみないか」と言われ、とりあえずセレクションを受けることになって、ありがたいことに明治大学でラグビーを続けることになりました。

◆紫紺のジャージ

――大学ラグビーの名門明治大学に入ってみてどうでしたか?

自分をアピールするのが苦手なんで、1年生の時は目立たないように、先輩にも目をつけられないようにひっそりとやっていて、試合もCチームとかDチームとか、出られないこともあり、「こんなんで良いのか」と思いつつも、性格だからしょうがないって割り切ってやっていました。

田原選手

――大学では寮生活ですよね。居心地はどうでしたか?

寮生活の経験もなく、各学年一人ずつの4人部屋だったんですが、学年が上になっていくごとに居心地が良くなっていくんですが、1、2年の時は・・・、分かりますよね(笑)?

――2年生になってもそうだったんですか?

2年の春に正ハーフだった人が怪我をして、たまたま僕がAチームに上がることになって、オープン戦でしたが紫紺のジャージを着ることができて、うまく伝えられないんですが、紫紺のジャージを着た瞬間にゾクッとして、ジャージを着ているその時間が気持ち良くって、楽しくって、「明治入って良かったな」って感じました。それから紫紺のジャージも着続けたいと思うようになり、練習に対しての気持ちも変わるようになってきました。

――それからはずっとAチームだったんですか?

3、4年の時はちょこちょこと公式戦である対抗戦の試合にも出られるようになりました。

――大学の時に印象に残っている試合は?

3年生の時に公式戦で初めて紫紺のジャージを着た、慶應大学との試合ですね。これも運良く正ハーフの人が怪我をしてチャンスが舞い込んできたんですが、公式戦のデビュー戦が慶應戦ということもあって、メンバー入りした時はすごく緊張して、なるべく迷惑のかからないようにやっていて、フォワードに指示を出すどころではなく、自分を落ち着かせることで精一杯でした。

――4年生の時には早稲田大学にも勝利しましたね?早明戦となると気持ちが違いますか?

その試合はリザーブでした。早明戦の1週間前からチーム全体がピリピリしていて、ジャージ授与式も普段とは別物で、試合前にはみんな泣いてましたね。既に大学選手権出場の望みが消えていたので、4年生にとってはその試合が最終戦ということもあり、「この試合で4年間の全てを出し切ろう」という気持ちで挑みました。勝利した後は、みんな狂ったかのように喜んでいました。

◆キヤノンラグビー部

――キヤノンでの今の仕事は?

貿易管理推進課に所属しています。輸出する時に必要な審査などに関する仕事です。まだまだ勉強中です。

――仕事とラグビーの両立は難しくないですか?

午前の仕事をしている時の自分と、午後のラグビーをやっている時のテンションはまるっきり違いますね。職場ではギャーギャー声を出すこともないですし、体を張ることもないので、職場では練習場とは全く違う人間です。今やっている仕事が好きで、今いる職場も好きなんで、両立とか全然苦ではないですね。

田原選手

――普段はラグビー選手には見えないですね?

大学の時からそうですね。ラグビー選手には見られないですね。僕はあからさまにイカツイ体で堂々と歩いているようなラガーマンが嫌なんで、どっちかというと細々と生活していたいタイプです。「ラグビーをやっているとは思えないね」って言われるのが僕にとっては褒め言葉なんですよ。そう言われるとすごい嬉しいんですよ(笑)。

――細身の体だと怪我とかはないですか?

スクラムハーフはコンタクトプレーが少ないので、他のポジションに比べ怪我の可能性は低いということもあり、今までも大きい怪我はないですね。

――ラグビー部の中に今年入社の同期はいるんですか?

12~13人いますね。みんな仲は良いですよ。

――チームの雰囲気はどうですか?

年齢が近い選手が多いということと、先輩が優しいということもあり、すぐに馴染めましたね。厳しい上下関係とかもなく、練習の準備や片付けとかも後輩に任せるのではなく、率先してやってくださりますし、練習中も意見を言いやすい雰囲気を作ってくれるので、すごくやりやすいです。

――スクラムハーフの魅力は?

大きい相手をかわすということもありますが、プレー中には心理戦の場面も多いので、相手の裏をかいたりするのが楽しいところでもあります。

――それではラグビー自体の魅力はなんでしょうか?

大きい選手だけではなく、自分のように小さい選手でもできるというのが魅力ですね。大きい人、小さい人、太った人、痩せた人、それぞれに適したポジションがあるんで、体型に関係なくプレーできるのが良いですね。

田原選手

――それでは今シーズンの目標は?

個人的には全試合フル出場です。そして、チームとしてはトップリーグに昇格することです。

――それでは最後にファンの方へのメッセージを

「ラグビーのルールが分からない」と言われることがよくありますが、タックルやスクラムなどルールが分からなくても熱くなるプレーがラグビーには多いので、試合を見てもらえばきっと楽しめると思います。是非とも一度会場に観戦に来て下さい。