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キヤノン イーグルス 公式サイト|スタッフレポート

スタッフインタビュー

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スタッフインタビュー 小村/ケイン/坂田/齋藤各コーチ2012年9月12日

キヤノン イーグルスは、豊富な経験を持った多彩なスタッフ陣に支えられています。そのようなスタッフ陣の中から、今回は小村/ケイン/坂田/齋藤の各コーチにインタビューを行いました。


小村 淳(フォワードコーチ)

試合を経験しながら、全員で切磋琢磨する

小村 淳フォワードコーチ

――今年も合宿をした北海道の出身

函館の出身です。毎年夏の合宿で行く北見は昔からラグビーの町で、北海道の国体予選が行われていました。高校3年の時に、当時の明治大学の監督だった北島忠治さんが自分のプレーを見て、明治に誘ってくれました。北見は明治に行くきっかけになった場所であり、明治でも毎年合宿していた思い出の多い場所です。

――コーチの経験は

2003年に2年半、明治大学のコーチとして母校ラグビー部の強化に努めました。その後明治学院大学で半年ほど、またU-19(19歳以下の代表チーム) でコーチをした経験があります。

――キヤノンでコーチをすることになったのは

明治で僕が4年でキャプテンの時に、洋司(永友監督)が3年でした。卒業後、一時ラグビーから離れていたのですが、2010年の花園での試合に呼ばれて一緒に試合を見て、フォワードのコーチを依頼して頂きました。

――キヤノンの試合を見た時の印象は

トップチャレンジのホンダ戦だったのですが、正直言ってよくトップイーストで優勝できたと思いました。その分戦略や選手の頑張りが凄かったから優勝できたのでしょう。セットプレーやフィジカルの部分は潜在能力が高くまだまだ伸びるチーム、というのが率直な印象でした。

――トップリーグでの試合に向けて

昨シーズン、トップリーグで十分戦えるのか、という不安を残しての昇格でした。今シーズンはアンディ・フレンドが入って、新しくチームのレベルアップを一歩ずつ進めている状況です。一戦毎にトップリーグチームのフィジカル、そしてメンタルの強さを経験しながら成長していきたいと思っています。その中でキヤノンの強みというのをしっかり作っていきたいですね。


小村 淳フォワードコーチ

――コーチとしての苦労は

教えたことが結果として出た時は、本当に嬉しいですね。でも逆の場合は「もっと教えてあげれば良かった」「なんでこう動かないのか」といった葛藤があります。そこがコーチの難しい部分であり、楽しい部分でもあります。そこでテーマとなるのが選手にどう伝えるか、ということです。紙に書いてポンと渡すのではなく、良い所、悪い所を映像で見せてイメージを与えてグラウンドで実戦するなど、その辺は経験豊富なアンディに相談して、ベストの伝え方や考え方などを模索しながらやっています。僕自身も良い勉強ができています。

――コーチのやり方も変わった

良い時は褒める。叱る時には「なぜこうだったのか」をしっかり伝えることが大事ですね。僕たちが学生の時のやり方ではだめです。でもキヤノンは素直な選手が多いのと、フォワードではアルベルト、そしてアストンがチームの足りない部分を自分たちで実戦して教科書になってくれているので、それは本当に助かっています。全員で切磋琢磨して、試合を経験しながらチームで決めた戦い方ができるようになっていきたいと思っています。

――選手とのコミュニケーションが大事

オンとオフはしっかり分けられるように気をつけています。あと、新しい事を始める時、始めは目を輝かせていても、時間が経つにつれて反応が変わる選手がいます。そういった変化をよく見て、選手の本当のところを読み取ることが大事だと思っています。

――ではファンのみなさんへ

厳しい試合が続くと思いますが、ファンの皆さんに感動を与えられるプレーをして、また見たい、応援したいと思って頂けるチームを作っていきます。そして「キヤノンはこんなプレーをするのか」「こんなに頑張るのか」と興味を持ってもらえるプレーをしていきます。ラグビーはコンタクトの音やチームスポーツの良さが、生で見ると良くわかるスポーツです。その点はテレビを通じてはなかなか分からない部分です。是非会場に試合を見に来て頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

マーカス・ケイン(ストレングス&コンディショニングヘッドコーチ)

理論だけを唱えるのではなく、コーチや選手に見せて一緒に行うのが自分の流儀


マーカス・ケインストレングス&コンディショニングヘッドコーチ

――オーストラリア出身

シドニーから1時間ほど南のThirroul(サルール)という町で育ちました。海に面した素晴らしいところです。

――ラグビーの経験は

地元のクラブチームで9歳から20歳までラグビーリーグ(オフェンス側のプレーヤーに対するタックルが6回成立すると攻守交代となる13人制のラグビー)をしていました。ラグビーリーグと同時に短距離走もやっていたのですが、怪我が多くラグビーリーグは20歳で引退しました。短距離走はその後も続けています。

――現在の仕事のストレングス&コンディショニングを始めたきっかけは?

ラグビーリーグと短距離走をやっていて、体はどのように機能するのか、またどうすればもっと機能するのか、ということに常に興味を持っていました。また選手たちを成功に導くこと、さらにチーム環境の構築などにも興味があり、コーチの道へ進むことを決断し、地元の近くのWollongong(ウーロンゴン)大学で 専門の教育を受けました。

――ところでコンディショニングとは

走ることに加えボクシングや縄跳び、ボート漕ぎや自転車などを組込み、心肺機能の高い身体能力を総合的に向上するのがコンディショニングです。オーストラリアやニュージーランドではかなり一般的になっていますが、キヤノンではあまり取り入れていませんでした。新しいトレーニングは、必ず自分で試してから機能するものだけをプログラムに組入れるようにしています。そして理論だけを唱えるのではなく、実際にコーチや選手に見せて一緒に行うのが自分の流儀です。


マーカス・ケインストレングス&コンディショニングヘッドコーチ

――キヤノンに来た経緯は

昨年までキャンベラのブランビーズで、アンディと一緒にコーチをしていました。キヤノンに来たのはその縁からです。
キヤノン イーグルスに入って4ヶ月ほど経過したが非常に上手くいっています。定期的に体力テストをしていますが、結果は非常に良いですね。その理由はまず選手たちの学ぼうとする熱心な姿勢です。また、坂田さん(コンディショニングコーチ)とタカ(齋藤 隆行ストレングスコーチ)が、自分の右腕としてよく対応してくれるので、プログラムが非常に効率的に進行しています。アンディが日本でのコーチングの経験が長いので、どのようなやり方が機能するのかを知っているのも助かっています。選手は明らかに成長していますが、選手全員のさらなるレベルアップを図り、怪我をし難い体を作るべくチャレンジを続けます。

――家族も来日している

妻と双子の男の子です。子供たちは生まれて5週間でやってきました。今3ヶ月になりますが、みんな元気に過ごしています。

――ではファンの皆さんへ一言

トップリーグは地方での試合も多く、そんなときこそスタンドがキヤノンレッドに染められていて、大きな声援によって選手は大きな力をもらうことができます。どんなスポーツでもファンの応援はチームの力となります。経験豊富なトップリーグチームとの試合はタフなゲームが多くなると思いますが、是非試合会場へ来て、キヤノン イーグルスを応援して下さい。

坂田 貴博(コンディショニングコーチ)

チームが必要としている選手をよく理解して、選手に最適なトレーニングをさせる


坂田 貴博コンディショニングコーチ

――現在担当している仕事について

選手がフィールドで走ったりコンタクトをしたり、それを連続でできるようにするのが一番の仕事です。またハードなトレーニングをする前のウォーミングアップ、また練習後のリカバリーといった練習の前後の体調管理、さらにマーカス(ケイン)と一緒に走力、リアクション、アジリティといったスピードトレーニングも行っています。

――通常の日の1日は

8時にはキヤノン スポーツパークに来てトレーニングの準備をしてミーティング。そしてプロ選手の練習、午後は社員選手を加えた練習をして、その後データの整理などするのでだいだい21時頃に帰宅、というのが一般的な1日の過ごし方です。

――この分野へ入ったきっかけは

小・中・高とラグビーをやっていたのですが、高校の時に全国大会などでトップの選手を相手にした時にフィジカルやスキルの差を感じ、選手たちの改善の力になれるコーチという仕事に興味を持ち始めました。その後、実は10年間ほど一般のスポーツジムでトレーニング指導などをしていたのですが、知り合ったコンディショニングコーチの方がマーカスと同じウーロンゴン大学の出身で、留学して勉強すれば道が開けるのでは、というアドバイスをもらい、4年間スポーツサイエンスという分野の勉強をしてきました。勉強も生活もかなりハードで大きな決断でしたが、本当に良いチャレンジだったと思います。

――キヤノン イーグルスへは

2010年の大学卒業前に、2ヶ月ほどインターンのような形でサントリー サンゴリアスさんにお世話になったのですが、その年の菅平キャンプでキヤノンとの合同練習があり、そこで洋司さん(永友監督)に初めて会いました。その後12月に卒業して日本へ戻ってきた時に、サントリーさんを通じて洋司さんからチャンスを頂いた、というのがキヤノンへ入った経緯です。

――2011年にキヤノン イーグルスに入って、選手を見た時の印象は?

走りのベースはかなりできていたのですが、ラグビーで必要なコンタクトの後に早くリアクションして素早く動く、といった走りのスピードが十分ではありませんでした。そこで去年はスピードアップに重点を置いてトレーニングを行いました。


坂田 貴博コンディショニングコーチ

――今シーズンは

昨年よりハードな練習をしていますが、取り組む姿勢、また規律に乗っ取ってターゲットを全員でクリアする、といったことが去年より厳しくなっています。私もこなすだけの練習にならないように、この部分に気を付けています。選手たちも積極的に取り組めていると思います。

――コーチとして苦労するのは

選手たちをベストの状態にして試合に送り出すのが自分の仕事です。その部分に苦労を感じることは殆どありません。ただ、選手をベストの状態にしても1番の基準はラグビーですので、15人に選ばれるとは限らないというのは歯痒さを感じます。1番速く走れる選手に、それをラグビーに活かすことをもっとアドバイスできれば、選手たちのその頑張りに今以上に応えられると思います。そのためにも監督やコーチ陣の話を良く聞いて、チームが必要としている選手をよく理解して、最適なトレーニングを選手にさせられるようにする、というのが課題の一つだと思っています。

――では、体のケアについてワンポイントアドバイスを

ではリカバリーについてお話ししましょう。例えば疲れた時、まずその疲れの原因を特定することが重要です。もう一つは「疲れたから休もう」を続けると疲れやすい体になってしまう、ということです。1日デスクワークをして疲れた場合、使っていない筋肉や負担が掛かっている部分があると考えられます。こういうときはストレッチやウォーキング、自転車を漕ぐ、また今の季節ならプールで泳ぐなどして、無理のない形で運動を始めるのが良いと思います。重要なのは1日5分でも良いので続けることで、運動に対して自然に反応するようになり、だんだん疲れ難い体になります。

――では最後にファンの皆さんへ

今年はハイスピードなラグビーを展開することを目指しています。選手たちがたくさん動くラグビーですので、ラグビーを初めてご覧になる方でも楽しんでもらえるラグビーだと思います。たくさんの方にサポートして頂ければ、それが本当に大きな力になって、選手たちももっと良いプレーができると思いますので、是非試合会場に足を運んで頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

齋藤 隆行(ストレングスフィットネスコーチ)

常に100%出して、精一杯やることが成長を促す


齋藤 隆行ストレングスフィットネスコーチ

――ストレングスフィットネスコーチとは?

ウェイトトレーニング中心に体を大きくして、且つ、速く動く為のトレーニングによって、ラグビーをする体の土台を作るのが自分の仕事です。

――この仕事に興味を持ったのは

体に関わる仕事に興味を持ち始めたのは高校生の頃です。高校、大学とラグビーをしていましたが、ラグビーのセンスやスキルは自ずと限界があるのに対し、走ることやウェイトトレーニングは頑張れば伸ばせる部分なので、そういうことを仕事にできないかを探り続けてきて、現在に至っています。

――勉強を始めたのは

大学卒業後、ジムで仕事をしながら鍼灸の専門学校に通って、体の事を約4年間勉強しました。ある時、そのジムに関東学院大学のラグビー部のコーチの方が来て、選手の面倒を見て欲しいという依頼がありました。その時に来た選手が山本(貢:現キヤノン イーグルス)でした。彼に基本的なウェイトトレーニングを教えたのですが、それがラグビーともう一度繋がった接点でした。その流れで関東学院大学のラグビー部でウェイト、治療、トレーニングを受け持ちました。守備範囲が広く、選手も160人ほどいたので仕事は大変でしたが、非常に楽しい時期でもありました。

――この時期の経験が現在も活かされている

それまでは相手がラグビーのトップレベルの選手なので、ラグビーの観点で相手を見て引け目を感じていたのですが、自分に体に関する専門知識がしっかりあれば、彼のようなトップアスリートにも対等に仕事ができる、ということが山本 貢と関わって分かりました。これが凄く大きかったですしハッピーでした。

――社会人ラグビーへは

関東学院大学には5年間いて、その後メディカルのヘッドとしてセコムラグビー部へ移りました。ただ、ちょうどその年にラグビー部の強化が停止となったので、1年で退部することになりました。この時宍戸(要介)、高根(修平:共に現キヤノン イーグルス)がいて、一緒に辛い時期を過ごしました。その後サントリーフーズでメディカルの担当を週に3日ほど、同時に今、脚光を浴びている国立スポーツ科学センターで非常勤のウェイトトレーニングの指導員をしました。日本のトップアスリートが集まり、またその人たちのトレーニング方法も見られたので、今のトレーニングの考え方の原型がここ確立できました。


齋藤 隆行ストレングスフィットネスコーチ

――そしてキヤノンへ

サントリーフーズのGMさんが洋司さん(永友監督)を紹介してくれたご縁です。洋司さんや小村さんは僕が高校生のころ大学のスター選手で、特に洋司さんは同じポジションということもあり一番好きな選手でした。初めて洋司さんに会った時はものすごく緊張したことを覚えています。自分の中でも強化の方に携わって、トップリーグにどうしても行きたい、ということがプライオリティだったので、当時のキヤノンの思いと完全に合致したわけです。

――当時のキヤノンはどうだったか

2010年4月入部なのですが、当時はまだ地盤のないチームでした。そこでとにかく走力を身につける、ということをテーマにした年で、1年で走ることが苦にならないチームにはなれました。全てにおいて自信のないチームだったので、一つ自信の持てる部分ができたわけです。でもそれだけではトップチャレンジに勝てなかった。そこで次の課題は体を大きくすることでした。それは去年、そして今年もフィジカルの強さを求めて頑張っているところです。

――選手とのコミュニケーションが大切

成長したな、と思うときは嬉しいですね。本人がプラス思考の時に声を掛けてプッシュすると、選手も上に向かってスムースに取り組めます。このタイミングは常に大事にしています。そのためにも選手とのコミュニケーションは大切です。練習中だけでなく食事中もなるべく一緒にして、いろいろな情報を取るようにしています。因みに強い選手はとにかく食べますね。食べるのもラグビー選手の大切な仕事です。

――ではファンの皆さんへメッセージを

常に100%出して、そしてエラーがあれば凹んで、そして修正してまたトライする、という繰り返しが成長を促します。コーチも選手もそう言う気持ちで精一杯やっています。キヤノンはまだ若いチームで、今年のリーグ戦も厳しい試合が多くなると思いますが、成長の速度が凄く速いので、リーグ戦の終わりには様変わりしている可能性を持ったチームです。キヤノン イーグルスを一緒に育てて頂き、その成長ぶりを試合会場で見て頂きたいと思います。今シーズンも宜しくお願い致します。