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イーグルスマンスリーコラム

イーグルスマンスリーコラム

イーグルスマンスリーコラム第2回

真鍋雅彦

ワールドカップでの奮闘で、一気に盛り上がったラグビー熱。そんな中で、いよいよトップリーグが開幕する。
今シーズンは、9~10月に「プレシーズンリーグ」があり、昨シーズンの日本選手権決勝と同カードの「ヤマハ発動機vsサントリー」や、"因縁の対決"として注目を集める「キヤノンvsリコー」、"NTTダービー"と称される「NTTドコモvsNTTコミュニケーションズ」といった興味深い試合も数多くあり、順位決定戦も行われたことでそれなりに盛り上がったが、「プレシーズンリーグ」はあくまでもオープン戦。どのチームも勝利を意識しながらもそれだけに固執するのではなく、リーグ戦本番に備えての新戦力の発掘、戦術の確認に終始していたように思う。
イーグルスもまたしかり。ボーダーラインの選手にとっては生き残りをかけた戦い。そしてチームにとっては、今シーズンの戦い方を全員に浸透させ、それを実践させることに全5試合を費やした。
その成果は、これから始まる真剣勝負で明確になるのだが、ここまでの準備を見る限り、今年のイーグルスは大いに期待できそうな気がする。その理由は、チームとしての成長が確実に感じられるからだ。

成長の中でも第一に挙げたいのが、選手層が厚くなったことだ。東恩納寛太、杉永亮太(以上帝京大)、高島忍(立命館大)、清水新也(早稲田大)、林大成(東海大)ら生きのいい新人が入り、それに刺激を受けたのか若手がグングン伸び、さらに菊谷崇、小野沢宏時らベテラン勢の奮闘もあって、すべてのポジションで激しいバトルが繰り広げられている。
特に厳しいポジション争いが繰り広げられているのが、ロックではないだろうか。昨シーズンは、日高駿、宇佐美和彦の出場が目立ったが、ここに元ジャパンの菊谷祟が殴り込み。ワールドカップ戦士のアイブス ジャスティンも絶好調とあって俄然"超"激戦区に。もちろん、湯沢奨平や芦谷勇帆も黙っているとは思えない。2つの椅子を巡っての戦いはますます激しくなりそうだ。
新規加入メンバーといえば、先のワールドカップで世界レベルのパフォーマンスを披露した南アフリカ代表不動のFB、ウィリー・ルルーの加入もイーグルにとっては効果大。ラインブレーカーとしての才能も非凡なだけに、チームにフィットすれば得点力も大幅にアップするはず。そのルルー来日を意識したわけではないだろうが、プレシーズンリーグではマイケル・ボンドが大暴れ。2人をどう使い分けるのか? そんなぜいたくな悩みまで出てきてしまった。

ご存知のように今シーズンのトップリーグは、ワールドカップ、リオ五輪のアジア予選(セブンズ)の開催、さらに来年2月下旬(または3月上旬)には、日本代表に準ずるチーム(チーム名はサンウルブズ)がスーパーラグビーに参戦することもあり、約2カ月でチャンピオンを決めるという短期決戦方式が採用される。試合は毎週あり、場合によっては中5日での戦いも強いられる。選手の消耗度は激しく、一度ケガをしたら、その時点でその選手のシーズンが終わる可能性も大。そういう点からいえば、今シーズン、厚みが増したというのは非常に大きい。永友監督も、「トップチームに比べればまだまだ」と言いながらも、それなりの手応えを感じている様子。「シーズンに入ったら、選手たちを最高のコンディションで試合に送りだせるように、我々も全力を尽くしたいですね」。
「戦い方」に関しても、イーグルスは確実に進化を遂げている。その進化をわかりやすく説明すると、「チームの決め事を徹底させて、チーム全員が一つになって相手の防御網を崩していく」戦い方が実践できるようになってきたということになる。
具体的には、たとえば攻撃の場合、これまではどちらかというと最低限のことだけを決めておき、3~4回目の攻撃あたりからは、各選手が個人の判断で自由に動くというものだったが、今シーズンからは、防御網に破綻が見られるまでは、チームとしての攻撃を仕掛けるという。
「自分たちよりも力の劣ったチーム相手なら、個人の判断でも得点を挙げることができますが、チームディフェンスが完成している相手に個人で仕掛けるのは限界がある。トップ4の壁を超えるためにも、チームの戦い方を徹底させる必要がありました」と、今シーズンからキャプテンに就任した橋野晧介は言う。
そしてその戦い方も、毎試合、同じパターンを繰り返すのではなく、出場する選手によって微妙にアレンジしていくと永友監督。この新しい戦い方が、完全に自分たちのものになっているかどうかは、蓋を開けてみなければわからないが、プレシーズンリーグを含めた練習試合でこの戦い方を実践してきた選手たちは自信を持ち始めている様子。大いに期待したい。
もうひとつ、どうしても挙げておきたい好材料がある。それは、例年以上にチームが明るい雰囲気に包まれていると同時に、チームに一体感が感じられることだ。昨年までとは異なり、永友監督が名実ともに現場のトップに立ち、その永友監督を、南アフリカコンビのアルベルト・ヴァン・デン・ベルグ(アシスタントヘッドコーチ)とギデオン・レンシング(フォワードコーチ)、さらに関東学院コンビの今村有基(バックスコーチ)、田井中啓彰(アシスタントバックスコーチ)が支えるという今シーズンからの新体制も、チームに好影響をもたらしているような気がする。

2013-14シーズンは、大健闘の7位。2014-15シーズンは、期待されながらの7位。「実績のあるチームとそうでないチームとの間には、点差以上の差がある」というのは永友監督の言葉だが、それを引っくり返す準備はすでにできているはず。あとは気持ちの問題か?
昨シーズンがスタートする直前、今や時の人となった五郎丸歩がこんなことを言っていた。「これからの日本のラグビー界を考えても、トップリーグを盛り上げなければいけない。そのためには、ヤマハのような第2グループにいるチームが優勝争いをしなければいけないと思っています」。その言葉通り、ヤマハは日本選手権で頂点に。次に頑張るべきは...。「絶対に勝つ!」。エディ・ジョーンズが一度も放り出さなかった勝利への執念が、今のキヤノンには必要なような気がする。


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真鍋雅彦(まなべ・まさひこ)

◎プロフィール

1957年12月11日、大阪府生まれ。日本大学芸術学部卒業後、株式会社ベースボール・マガジン社勤務を経てフリーに。主としてラグビー、ゴルフ、野球などをテーマに扱うことが多い。仕事とは別にラグビーの普及、子どもラガーの育成に従事。現在、多摩ラグビースクールの校長を務めている。

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