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選手インタビュー

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選手インタビュー vol.18 橋野 皓介2010年12月 2日

キヤノン ラグビー フットボール クラブ 選手インタビュー
vol.18 橋野 皓介『次の試合に出場して勝つということを積み重ねていきたい』


◆現在

――社会人ラグビーを経験してみて、想像していたラグビーとの違いはありましたか?

大学の時と比べるとやはり体が大きいですね。ただ、だいぶ大げさに予想していたので、その予想の範囲内でした。あと大学の時に外国人選手とプレーすることがなかったので、社会人になって外国人選手とプレーしてみて桁が違うと感じました。

――キヤノンに入って外国人選手と一緒にプレーしていますが、コミュニケーションなど問題にはなりませんでしたか?

僕らには分かりやすい英語で言ってくれるので、コミュニケーションは問題なかったです。

橋野 皓介選手

――いま心配していることはありませんか?

僕は小さい頃から調子が良い時に無理して怪我をすることが多かったので、今は調子が良いとは思わないようにしています。ただ今までこんなに大怪我なくシーズンを過ごせることがなかったので、とにかく調子に乗り過ぎないように気をつけたいと思っています。

◆少年時代

――ラグビーを始めたのは何歳の時ですか?

5歳の時です。父はラガーマンではなかったですが、高校ラグビーが大好きで、ずっと花園に連れて行ってもらっていました。実はよく覚えていないですが、自分から「やる」っていったみたいで、家の近くのラグビースクールに通うようになりました。ラグビーをやることで気持ちも強くなりました。

――花園で見た試合で、印象に残っている試合はありますか?

天理高校の試合を見たのですが、ジャージが上から下まで真っ白で、真っ白のチームが試合しているという記憶がありますね。家で弟とラグビーをする時も、全身真っ白のシャツを着て、「天理、天理」って言いながらやっていました(笑)。別に憧れていたわけではないですけど、真っ白なジャージが凄く印象に残っていましたね。

橋野 皓介選手

――中学に入ってもラグビーを続けたのですか?

地元の中学のラグビー部に入って、その時はスクラムハーフでした。小学校の時は背が大きい方だったので、スタンドオフをやっていましたけど、中学に入ったら全く身長が伸びなくて、前から3番目くらいでした。更にスタンドオフがすでに1人いて、スクラムハーフがいなかったので、自然とスクラムハーフになり、3年間ずっとスクラムハーフでした。

――小さい時から足は速かったのですか?

速い方でしたね。小学校の時はめちゃめちゃ速かったのですが、中学に入ったら身長も止まるし、運動能力も止まってしまって、足も遅くなりました(笑)。

◆高校時代

――高校に入ったら練習も厳しくなりましたか?

中学の時は、勝つために練習するという雰囲気ではなかったのですが、高校では優勝しか見ていなくて、優勝以外は負けという雰囲気でした。それに中学までは上下関係なんてありませんでしたけど、高校では凄まじい上下関係がありましたね(笑)。

――高校は大阪工業大学高校ですが、天理高校に進もうとは思わなかったのですか?

小学校3年生の時に、大阪工大が優勝した時の試合をテレビで見たのですが、めちゃくちゃ強くて圧倒的な試合でした。それにジャージもかっこよくて、その時に絶対に大阪工大に入ろうと決めました。憧れていた高校だったので、上下関係が凄まじくても耐えることが出来ましたね。

橋野 皓介選手

――そこからはもうラグビーを続けていこうという思いがあったわけですか?

僕の中では、大阪工大でラグビーをするというのが小さい頃からの夢で、そこがラグビーの完結という思いでいました。「大阪工大のジャージを着て花園で優勝して、そこで終わり」って考えていたので、それ以上の夢はその時はありませんでした。

――その憧れの高校で、いちばん印象に残っていることは何ですか?

1年生の夏合宿で、菅平に11泊12日の合宿があって、いままで生きてきた中で一番つらい経験でしたね。理不尽なこともありましたし、大声で歌を歌いながらずっと空気椅子をさせられたりもしましたね。泣きながらやっていましたから、もの凄く辛かったですね。ただ僕は逃げずに「耐えよう」って1年生同士で励まし合って、何とか頑張りました。

橋野 皓介選手

――それは憧れていた高校だったから頑張れたのでしょうか?

それが大きいと思いますね。憧れがなければ、辞めていたと思います。大阪工大でラグビーをするということだけを目標にやってきて、親にも絶対に大阪工大に行くって言っていましたから。中学の進路相談でも、ずっと大阪工大って言っていました。

――高校時代はどの試合が印象に残っていますか?

3年の花園の準々決勝と準決勝ですね。当時4連覇中の啓光学園(現・常翔啓光学園)と準々決勝で対戦することになりました。対戦が決まった時は正直ヤバいなと思いました。ただ監督が良い雰囲気を作ってくれて、その試合に勝てたのがいちばん嬉しかったですね。啓光学園に勝ったのですが、準決勝で神奈川の桐蔭学園に負けてしまいました。しかもロスタイムに逆転負けですよ。ラグビーはもう高校で完結させようと思っていたのですが、それがめちゃくちゃ悔しくて、「絶対大学でやり返したろ」って思いましたね。高校ではその2試合が印象に残っていますね。

◆大学時代

――大学が決まったのはいつですか?

3年の4月上旬だったと思いますが、当時は同志社がめちゃめちゃ強かったので、結局同志社に決めました。ただ当時は高校ラグビーで完結と思っていたので、まったく大学ラグビーを見ていませんでした。関西で同志社が強いということは知っていましたが、ジャージの色さえ分かっていなかったと思います(笑)。

橋野 皓介選手

――高校ラグビーと大学ラグビーでは全く違うラグビーでしたか?

全然違いましたね。同志社ではあの凄まじい上下関係はありませんでしたが、個人の能力が高い先輩ばかりでした。ただ付いていけないとは感じなかったです。

――大学でのモチベーションは高校での悔しさだったわけですか?

そうですね。絶対に勝ちたかったですし、日本一になりたかったですね。1年の春のオープン戦からその後の夏合宿でも調子が良かったのですが、無理なところで強引にステップ踏んで抜きに行っていたら、膝を怪我してしまいました。それで1年間ラグビーが出来なくなりました。

――大学日本一という目標は遠かったですか?

遠かったですね。2年の夏合宿でようやく復帰したのに、また怪我をしてしまいました。夏合宿中は騙し騙しプレーしていましたが、医者に「手術をして最後の1年に賭けてみてはどうか」と言われて、手術をすることを決めました。なので、大学では1年半しかラグビーができなかったわけです。

――4年で再度復帰した時、怖さはなかったですか?

1回目の怪我のリハビリの時は、2年から頑張ろうと軽い気持ちでやっていましたが、2回目の時はラスト1年に賭ける思いで、リハビリもしっかりやっていたので、不安はなかったですね。「絶対に調子乗らんとこ」って思っていました(笑)。

――4年生の時の成績はどうでしたか?

2戦目で今まで負けたことがなかった相手に負けてしまって、一気にチームの雰囲気が悪くなって、結局7戦して3敗の4位でした。そこで選手権に向けて気持ちを切り替えたのですが、リーグ戦の最終戦で負けた関西学院大学にまた負けてしまいました。僕は大学で1年半しかラグビーが出来なかったので、大学ラグビーに関してはやり切ったという思いになれませんでした。高校の時も最後で後悔して、大学でも後悔しかなかったので、ラグビーで充実感を得られたことがなかったですね。

――大学の時から社会人でもラグビーをするという思いはありましたか?

4年になってから1年先輩の吉田惇哉さんに相談したら、「キヤノンは本気でトップリーグ目指してやっている」と教えてもらい、練習にも参加させてもらいました。今までのラグビー人生で充実感が得られなかったので、社会人でその充実感を味わいたいという思いがありました。

橋野 皓介選手

◆キヤノン

――キヤノンに入ってみていかがでしたか?

上手い人ばかりで、さらに凄い外国人選手も入ってきて、このままでは練習に付いていけないと感じ、必死で練習しました。

――いまラグビーをする上でモチベーションになっていることは何ですか?

橋野 皓介選手

1試合1試合勝つということだけを思ってやっています。今年はトップリーグに昇格するという大きな目標があって、その後ももっと上に行きたいと思っています。ただそんなところまで見る余裕が今は一切ないので、次の試合に出場して勝つということを積み重ねていきたいと思っています。
あと、今までは思うままにプレーしていたのですが、キヤノンに入ってチャーリーさん(チャールズ・ロウ/アシスタントコーチ)と会って、細かいところまで教えてもらって、スタンドオフは頭を使わなければいけないポジションということを再認識しました。今は頭を使ったプレーを意識してやっています。

――キヤノンには日本代表のアリシ選手など、素晴らしい経歴を持った選手がたくさんいますが、勉強になる部分が多いのではないですか?

今までテレビで見ていた人たちだったので、勉強になりますね。その中でも見習っているのがブルーシー(カラム・ブルース)です。日本人とほとんど体格も変わらないのに、体の使い方が上手いですし、すごく頭を使ってラグビーをしています。今はセンターでプレーしていますけど、元々はスタンドオフなので、本当に学ぶことが多いですね。同じポジションを争うライバルになりかねないですね。今まで全く筋トレなんてしていなかったのですが、最近やっとウエイトをやり始めました(笑)。

――最後にファンへメッセージをお願いします

会社の同じ部署で、今までラグビーを見たことがなかった方が何度も会場に応援に来てくれて、秋田まで応援に来てくれた人もいます。そういうのがめちゃくちゃ嬉しくて、試合の後に会社に行くと、「良かった」と言ってくれるので、本当に頑張ろうと思えます。そういう皆さんがいるおかげで、モチベーションにもなっていますし、感謝しています。会社では0.3くらいの力にしかなれていないのですが、それでも休日に会場に来て応援してもらっているので、本当に有難いと思っています。そういう人たちのためにももっと頑張っていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。

橋野 皓介選手