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教育支援・普及活動

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永友監督が「スポーツこころのプロジェクト」で「夢先生」を務めました。2012年12月13日

「スポーツこころのプロジェクト」は、公益財団法人日本体育協会、公益財団法人日本オリンピック委員会、公益財団法人日本サッカー協会、一般社団法人日本トップリーグ連携機構の4団体が主催する事業で、日本のスポーツ界が一丸となって、東日本大震災で被災した「すべての」子どもたちの、「こころの回復」を応援するためのプロジェクトです。

永友監督は、「スポーツこころのプロジェクト」が行っている活動のうちの一つ、「スポーツ笑顔の教室」で「夢先生」を務めました。

「スポーツ笑顔の教室」は、現役アスリートや元アスリートが、「夢先生」として被災地の小学校を訪問し、子どもたちと一緒に遊んだり、対話をしたりしてコミュニケーションを図っていくなかで、子どもたちが笑顔や元気、自信を取り戻し、自身の力や可能性について気付けるよう導いていくものです。
2011年9月から始まった「スポーツ笑顔の教室」は、被災各県で、これまでに約300回行われています。

スポーツこころのプロジェクト スポーツこころのプロジェクト スポーツこころのプロジェクト

11月29日(水)9時。スポーツこころのプロジェクト スタッフ高田保則さん、同 三國亜紀さんと仙台駅で待ち合わせをし、車で相馬市立磯部小学校へ。
高田さんは、湘南ベルマーレや横浜FCで活躍した元サッカー選手で、J2での得点数は現時点で歴代1位。1999年のFIFAワールドユース選手権で準優勝した際のU-20日本代表メンバーでもあります。

海岸沿いを南下すること約1時間。海沿いには、広大なさら地が広がっている地域が多くあり、津波被害の大きさを物語っていました。

今回訪問させていただいたのは福島県相馬市立磯部小学校。
5年生の男子11人・女子6人、6年生の男子5人・女子5人、合計27人の生徒たちが元気に迎えてくれました。

まずは、体を動かしながら夢先生と子供達がコミュニケーションを深める「遊びの時間」。体育館は地震の影響により建て直し中ということで、校舎内のホールで行いました。

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「遊びの時間」の進行役を務めたのは高田さん。

「やっちゃんって呼んでね」と自己紹介して子供達の心を掴むと、ウォーミングアップを開始。二人一組で向かい合って立ち、高田さんの掛け声を合図に、床に置いたボールを奪い合うゲーム。子供達は大きな笑い声をあげながらボールを取ったり取られたり。子供達と一緒にゲームに参加した永友監督も思いのほか本気モードで4戦中2勝2敗。早速子供達と打ち解けていました。
その後いくつかのゲームを経て、最後は「しっぽ取りゲーム」。子供達全員と永友監督が手を繋いで円を作り、一人がお尻につけたしっぽを、高田さんに取られないよう知恵を絞るゲーム。手を離してしまうか、15秒以内に高田さんにしっぽを取られると子供達と永友監督の負けです。
1回目、高田さんの追跡をかわすため、子供達と永友監督は円を大きく時計回りにまわして逃げ切る作戦に。しかし、そこはJ2得点歴代1位の高田さん。わずか数秒でしっぽをつけた子供をとらえて、子供達と永友監督の完敗。「俺はウサイン・ボルトより足が速いからね。」と高田さん。
永友監督は、子供達を集めて作戦を練ります。しかし2回3回といずれも高田さんの勝利。しかしながら、しっぽを取られるまでの時間は確実に伸びていきます。
最後のチャンス、永友監督は再び子供達を集めて作戦会議。子供達と共に編み出した戦術は、「さすがは現役の監督」と高田さんをうならせる内容に。
いざ最後の戦い。編み出した戦術が見事にはまり、子供達と永友監督は20数秒も高田さんの攻撃をしのぐことができ、最後の最後で勝利をおさめました。

この「遊びの時間」の最後に永友監督は、「皆でコミュニケーションを取ること、自分の考えをみんなに伝える事、みんなの考えを分かちあう事。すごく大事な事です。むずかしい問題があっても、皆でコミュニケーションを取っていけば、きっと解決していくことができます。」と子供達に伝えました。

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2時間目は、教室に移動して「対話の時間」。
永友監督が夢先生として、夢を持ったきっかけや夢を掴むまでの話をすることで、子供達に夢を持つ事の大切さを教える時間です。

永友監督は、用意してきたシートを黒板に貼りながら、静かに語り始めました。

小学校5年の時、ラグビー日本代表になる夢を持った事。宮崎で一番ラグビーが強い高校に進みたかったにも関わらず、受験に失敗してしまったこと。大学1年時、レギュラーを取れずに悩んでいた時、4年生の先輩に素晴らしいアドバイスをもらい、どんな状況でも友達のため、仲間のために頑張るという姿勢を学んだこと。大学4年時、優勝を逃して周囲からバッシングを受けたことで、逆に、前を向いて一歩踏み出す勇気を学んだこと。社会人になり、ついに夢見ていたラグビー日本代表になることができたこと。
時に真剣に、時に笑いを交えて話す永友監督の話に、子供達は引き込まれ、目を輝かせながら聞き入っていました。

永友監督の話を聞いたあと、子供達はどんな夢を持っていてどんな事をしたいのか、「宝物シート」に書き込みました。
子供達による「宝物シート」の内容を発表する時間。恥ずかしいのか、なかなか手が挙がらない子供達に、永友監督は「恥ずかしいよね。勇気がいるよね。でも、前を向いて一歩踏み出す勇気を持つこと、すごく大事なことだと思うよと促します。
すると、ゆっくりと手が挙がり出し、「バレーボール選手になって、いろんな試合で勝ちたい」、「お父さんの仕事を継いで社長になりたい」と発表してくれる子供が相次ぎました。

最後に永友監督は、「夢は叶います。ただし、夢は持たなくては叶いません。夢は持つ事が始まり。何かやりたいことを見つけてほしい。自分自身に負けないで、夢を叶えてください。」
とメッセージを送りました。

最後は皆で記念写真を撮って、「スポーツ笑顔の教室」は終了。

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6年生担任の神成先生は、「子供達が夢を語る姿を見ることができてとても嬉しいです。こんなにすごいスポーツ選手でも失敗があるんだと学ぶことが、子供達にはとても大切なことだと思います。」と語ってくれました。
5年生担任の吉野先生は「子供達は、この時間をとても楽しみにしていました。5年生は卒業を控えた6年生と違って、先の事を考える機会が少ないので、良いきっかけになったと思います。」と感想を聞かせてくれました。

夢先生という大役を無事務めあげた永友監督も、「非常に勉強になりました。震災という、とても辛い現実と向き合い、そして今なお厳しい状況にある中で、ひたむきに頑張っている子供達の強さは胸に迫るものがありました。特に、勇気を振り絞って自分の夢を発表してくれた子供達の姿には感動しました。今回、教える・伝えるというよりは、自分自身にとって良い経験になったと感じます。サッカーやラグビーといった枠組みを越えて、今後も日本スポーツ界としてこうした取り組みを継続しなくてはいけないと思います。次はイーグルスの選手たちにも、経験してもらいたいなと思いました。」
と大変刺激をうけた様子。

磯部小学校の皆さん、本当にありがとうございました。

「スポーツこころのプロジェクト」詳細は、こちらでご覧ください。