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イーグルスマンスリーコラム

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イーグルスマンスリーコラム第2回

真鍋雅彦

2014.8.30 リコー ブラックラムズ戦

4試合が終わった時点で2勝2敗、勝ち点12。プールBでの順位は8チーム中4位。その成績が示す通り、可もなく不可もなくという前半戦だった。内容的にも、成長の跡がみられた部分があった一方で、昨シーズンのままという部分もいくつか残っていたように思う。
成長という部分で最も強く感じたのは、昨シーズンまでにはなかった"したたかさ"を身に付けたことだ。
たとえば、永遠のライバル、リコーとの一戦での逆転劇は実に鮮やかだった。7-16とリードされて迎えた前半23分。リコーのペナルティによって獲得した相手陣5mのラインアウトでスロワーのFO山本貢がリコーFWの準備が整う前にスローイン。リコーFWがあわててディフェンスを形成したが、すでにひとつの塊になっていたキヤノンFWがあっという間にゴールラインへなだれ込んだ(G成功で14-16)。あらかじめ準備していたプレーだと思うが、その使いどころと間合いが実に巧妙だった。
さらにその3分後。相手陣22m中央付近でペナルティキックを得るや、カラム・ブルースが、相手の陣形が整っていないと見て突進。ゴール前3mでできたラックから右に展開し、最後はラインに入っていたFLアダム・トムソンがインゴールに飛び込んだ(G不成功で19-16)。2点ビハインドで迎えたこの場面、とりあえずPGで3点を取って試合をひっくり返しておくというのがセオリーというものだが、 まさに"機を見るに敏"。したたかな攻撃で試合の流れを手繰り寄せた。

8.30リコー戦トムソン選手のトライ、8.24トヨタ自動車戦ロウ選手

昨シーズン、高く評価された"崩れない防御網"も、その堅固さがさらに増したように感じる。とくにリコー戦では、後半、相手に66%のボールポゼッション(ボール保有率※数字はトップリーグ公式アプリより/以下同)を許しながら、その猛攻を何度も跳ね返し、後半は1つのトライしか許さなかった。また、17-20の3点差で敗れた第3節のサントリー戦でも、退場者を出し、最後には力尽きてしまったが、見応えのあるディフェンスを繰り広げた。
その一方で、昨シーズン何度も指摘された、接戦をものにできないという課題は今シーズンも克服されていない。
開幕戦がそのいい例だ。豪雨に近い雨が降りしきる中で行われたトヨタ自動車戦。「アタッキングラグビー」を標榜するキヤノンにとっては最大の武器が使えない状況であったとはいえ、終始、トヨタ自動車にゲームを支配された。ボールポゼッションだけを見ると、キヤノンが前半59%、後半51%と相手を上回っていたのに、だ。
激戦となったサントリー戦においても、永友洋司監督は、「勝つ文化、大事な所でのミスなど、まだまだ点差以上の差がある」と試合後語っていたが、勝つチャンスは間違いなくあったはずだ。

9.5サントリー戦 福居選手、9.14近鉄戦でTL初ゴールを決めた城選手

ではどうすれば、このような接戦がものにできるようになるのか? 永友監督の言葉を借りれば、「勝つ文化を育み、大事な所でのミスを減らす」ということになるのだが、「勝つ文化」というのは、勝ったチームにしか育まれないものではないだろうか。だから、まずは勝つしかない。そのためにも、今以上のレベルアップを図るしかないということになってくる。
もちろん、それが簡単なことでないことは分かっている。しかし、それができない限り、勝つ文化も育まれないし、次のステップにも進めないということだ。
レベルアップを図るためには、経験値を挙げることも必要だろう。そういう点から言っても、1stステージでは何としてでも4位以内に入り、2ndステージでは上位陣が集うAグループで戦いたい。
すでに2敗を喫しているキヤノンにとっては、前半戦以上に厳しい戦いが続くことは言うまでもない。残るは、NTTドコモ戦、コカ・コーラ戦、神戸製鋼戦の3試合。今シーズン好調の神戸製鋼と対決する前に、4位以内を確定させておきたいところだ。
ただ、NTTドコモ(0勝4敗)も、コカ・コーラ(1勝3敗)も、ともに今シーズンは満足のいく結果が出ていないが、NTTドコモは神戸製鋼相手に26対36、コカ・コーラはサントリーに相手に13対17と善戦するなど、ここぞという時には激しいファイトを繰り広げている。
さらに不安材料を挙げるとすれば、昨シーズンのキヤノンは、1stステージで4位に入ったものの、クボタ(Bグループ5位)、Nリコー(同7位)には敗れるなど、"上位に強く、下位に弱い"という一面があった。昨シーズンよりも確実に成長していることを考えると、この2試合は乗り切れるような気がするのだが、果たして...。
いずれにしろ、残りの3試合は、キヤノンの今後を決定づけるといっても過言ではない。一歩前に進むのか、足踏みをするのか。その戦いからは目が離せない。


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真鍋雅彦(まなべ・まさひこ)

◎プロフィール

1957年12月11日、大阪府生まれ。日本大学芸術学部卒業後、株式会社ベースボール・マガジン社勤務を経てフリーに。主としてラグビー、ゴルフ、野球などをテーマに扱うことが多い。仕事とは別にラグビーの普及、子どもラガーの育成に従事。現在、多摩ラグビースクールの校長を務めている。

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