横浜キヤノン イーグルス 公式サイト

Menu
イーグルスマンスリーコラム

イーグルスマンスリーコラム

イーグルスマンスリーコラム第5回

真鍋雅彦

一つの壁を乗り越えるためにはこれほどまでに苦しまなければならないのか?
目標が高ければ高いほど、壁もその分高くなることを改めて実感したセカンドステージの前半戦だった。
ファーストステージでは、昨季のトップ4であるサントリー、神戸製鋼に対し、敗れはしたが互角に近い戦い(サントリー戦17-20、神戸製鋼戦14-17)。永友洋司監督は、いつも通り、「点差(ともに3点差)以上にその差は大きい」と口にし、彼らがセカンドステージではさらに激しい戦いを挑んでくることも承知していただろうが、その後ろ姿をハッキリととらえ、それに追いつき、追い越すためにはどうすればいいかをつかんでいたように思う。
そして迎えたセカンドステージ。目標のベスト4入りを果たすために、少なくとも4強(パナソニック、サントリー、神戸製鋼、東芝)のひとつを崩すつもりで臨んだことは間違いない。いやその前に、最初の3試合(NTTコミュニケーションズ戦、ヤマハ発動機戦、トヨタ自動車戦)を確実にものにしなければ、打倒4強を口にすることはできないことを十分に分かっていたはずだ。

しかし現実はそう甘くはなかった。第1戦のNTTコミュニケーションズ(ファーストステージAグループ4位)には快勝したが、昨シーズン1勝1敗のヤマハ発動機(同Aグループ3位)には前半こそリードしたものの、後半4トライを奪われて惨敗(13-36)。さらにファーストステージの雪辱を晴らさんと挑んだトヨタ自動車戦、サントリー戦でも返り討ちにあった壁は思った以上に高かったのか? それとも、乗り越える方法を間違ったのか? 正直言って、乗り越えられる可能性は十分にあったと思うし、その方法も間違っていなかったと思う。ならば、何故?
敗因のすべてとは言えないが、大きな誤算だったのは、「本当の戦い」を前にして、それまでチームの中心として活躍していたプレーヤー数名を欠いてしまったことだ。
特にサントリー戦は、ファーストステージで同チームと戦った時とは大幅なメンバー変更を余儀なくされた。12月21日のスターティングメンバーには、ファーストステージでの対戦でその名を連ねていたWTB和田拓主将をはじめ、チームの頭脳ともいうべきSOカラム・ブルース、ベテランならではの働きをみせていたFO山本貢、FL竹山浩史の名前がなかった。
彼らに代わって登場したのは、入部1、2年の若い選手たち。スターティングメンバー15人中、ルーキーが何と4人。LO宇佐美和彦とWTB森谷直貴はファーストステージからレギュラーとして活躍していたが、FO庭井祐輔は先発3試合目、FL嶋田直人はこの日が初先発だった。
また、カラム・ブルースの代わりにSOを任された2年目の森田慶良もスターティングメンバーに名を連ねるのはトヨタ自動車戦に次いで2試合目。よく言えばフレッシュなメンバー編成だったが、これまでチームを牽引してきたプレーヤーがいないことに少なからず不安を覚えたファンも多かったのではないだろうか?
その不安通り、開始直後からサントリーペースで試合が進む。前半に3つのトライを献上(前半7-19)。後半も、ノーホイッスルトライを奪われ(G成功)7-26に。流れから言ってもこのままワンサイドゲームになるのではないかと思われた。

しかし、"若い選手主体"のイーグルスがここから踏ん張りをみせる。後半12分にラインアウトからの攻撃で右に展開し、最後はCTB三友良平がスペースをついてインゴールに飛び込む。さらに5分後の17分、自陣22mのラックでLO宇佐美が相手ボールをスチール。そのボールを左に展開し、さらにラックから素早く右に展開。嶋田からパスを受けたマイケル・ボンドが大きくゲインし、タックルを受けながらも嶋田に折り返し、そのまま嶋田がインゴールに持ち込んでゴール中央にトライ(G成功)。この時点で5点差にまで詰め寄った。
最終的には、その後、トライを奪われ勝利を手にすることはできなかったが、引き離されても集中力を切らさず、最後まで相手に食らいついた点は高く評価できるのではないだろうか。
強豪チームと互角の戦いができるところまでチーム力が上がって来たものの、強豪と比べると、スターティングメンバーとそれ以外の選手との差がまだまだ大きいと思われていた。中心的プレーヤーが出場できない時、どう戦うか? それがキヤノンイーグルスの課題でもあった。
そのあたりが、永友監督のいう、「強いチームとの差」なのかもしれないが、サントリー戦を見る限り、決してチーム力は低下していなかった。いやそれどころか、若い選手の奮闘もあって、最後までチームは勢いを失っていなかったように思う。
セカンドステージ前半の4試合では、スタート前に掲げた目標を達成することはできなかったが、その一方で、課題克服に向けての第一歩を踏み出すこともできた。

プレーオフ進出はかなり厳しい状況に追い込まれたが、ありがたいことにキヤノンイーグルスの底力を見せるチャンスは、今シーズン、まだ残されている。特に、昨シーズン、ワイルドカードトーナメントで散った日本選手権は、その絶好の機会といえよう。
そういう点から言っても、セカンドステージの残り3試合は、重要な意味を持つ。東芝、パナソニック、神戸製鋼相手に勝利を収めるためには、自分たちの力を100%出すことが絶対条件だが、それができるかどうか? また、それができなければ次のステップには進めないことは、選手たちも良く知っているはずだ。
自分たちの力を信じて戦い続ければ、必ず道は開ける。今はその歩みを止めないで、前に突き進んでほしい。


profile ph.JPG
真鍋雅彦(まなべ・まさひこ)

◎プロフィール

1957年12月11日、大阪府生まれ。日本大学芸術学部卒業後、株式会社ベースボール・マガジン社勤務を経てフリーに。主としてラグビー、ゴルフ、野球などをテーマに扱うことが多い。仕事とは別にラグビーの普及、子どもラガーの育成に従事。現在、多摩ラグビースクールの校長を務めている。

JRFU(財団法人日本ラグビーフットボール協会)
JAPAN RUGBY LEAGUE ONE オフィシャルサイト
TOP LEAGUE オフィシャルサイト
▲TOP

- Official Partner -



 

- Community Partner -


JRFU(財団法人日本ラグビーフットボール協会)
JAPAN RUGBY LEAGUE ONE オフィシャルサイト
TOP LEAGUE オフィシャルサイト