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イーグルスマンスリーコラム

イーグルスマンスリーコラム

イーグルスマンスリーコラム第3回

村上晃一

キヤノンイーグルスファンの皆さん、あけましておめでとうございます。
2016年はスーパーラグビー参戦、男女7人制日本代表が参加するリオデジャネイロオリンピックなど、昨年のワールドカップイヤーに続き、日本ラグビーが飛躍するチャンスの年となります。キヤノンイーグルスも、幸先の良いスタートを切り、チームの未来を明るく照らす年にしなくてはいけませんね。

さて本題。キヤノンイーグルスは、昨年11月13日から始まったトップリーグのリーグ戦プールBで4位に入り、1月9日から始まる順位決定(1位~8位)トーナメント「LIXIL CUP」に進出を決めた。1回戦の相手はパナソニックワイルドナイツ。新年早々、三連覇を狙う王者へのチャレンジとなる。リーグ戦終了時、橋野皓介キャプテンは、「キヤノンの新しい歴史を作るように頑張ります」とコメントした。新たな歴史とは、2012年度のトップリーグ昇格以降、初のトップ4入り、そして頂点を伺うことであるはずだ。

今季のキヤノンイーグルスには、その可能性を感じさせる戦力が整いつつある。2015年11月15日のリーグ開幕戦では優勝候補の一角である神戸製鋼コベルコスティーラーズに敗れたが、南アフリカ代表のファンタジスタ、ウィリー・ルルーが衝撃的なトップリーグデビューを果たした。後半10分からの途中出場ながら、力強いタックルで2本のトライを防ぎ、瞬時の加速でディフェンダーを置き去りにするトライをあげ、観客の度肝を抜いたのだ。その後のルルーの活躍は皆さんごご存知の通り。長らく怪我で苦しんだ橋野皓介キャプテンがSOに定着し、2年目のHO庭井祐輔、FL嶋田直人らが成長を続けている。

いつの日かキヤノンイーグルスの歴史を語るとき、忘れられない勝利となったのが、2015年12月19日、リーグ第6節のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦だった。トヨタから初勝利をあげた記念すべき試合でもあったが、驚かされたのは、そのメンバー編成だった。イーグルスはその試合まで4勝1敗の好成績だったにもかかわらず、5連戦の主軸だったメンバーを大幅に入れ替えた。「リーグ戦は7週連続で試合があります。5連戦は移動もあり、選手の負担も大きかった。疲労度を考えると、メンバーを変えるのはこの時期と考えていました。それに、順位決定トーナメント進出は決まっており、ピーキングのことも考えないといけませんから」(永友洋司監督)。

ベテランの菊谷崇は選手へのメンバー発表時を振り返る。「その瞬間、(メンバー入りした)みんなのエネルギーが前面に出てきました」。この日、2トライをあげたSO森田慶良は今季初出場だった。「ずっと橋野キャプテンがSOを務めていたし、チームも勝っていたので、まさかと思いました。同時にこのチャンスを生かさなくてはいけないと思いました。でも、このメンバーで勝てるのか、という不安はまったくありませんでした。それが今季のキヤノンの強みです」。どの選手もチームの成長に手ごたえをつかみ、会心の笑顔を見せていた。

この流れから行けば、ベストメンバーをそろえた第7節のヤマハ発動機ジュビロ戦は是が非でも勝たなくてはいけなかったのだが、残念ながら、19-33で敗れている。勝負どころで反則を繰り返し、イエローカードを3枚も受けてしまった。まだパフォーマンスに波があるということだし、規律を守れなかったことは猛省しなければいけない。しかし、ヤマハの防御を崩してトライを3本奪うなど手応えもつかんだ。永友監督の言う「ピーキング」を考えれば、この敗戦がトーナメント1回戦の好パフォーマンスにつながる可能性は十分にある。

もう一つ、心強いのは元ナミビア代表のギデオン・レンシングFWコーチの下、春から徹底してきたスクラム強化が着実に実を結んでいることだ。リーグ7試合を終えてのスクラムキープ率は、92.5%で16チーム中6位。まだ、満足できる数字ではないかもしれないが、この安定感がLIXIL CUP進出につながったのは間違いない。パナソニックに対しても、スクラムで互角に戦うことができれば好勝負に持ち込めるはずだし、SO橋野やFBルルーの個人技が生きてくるだろう。

トップリーグの公式データの数字では、得点、トライ数など、ほとんどの数字でパナソニックに上回られているが、ターンオーバー数に関しては、イーグルスが「72」で全体の1位、パナソニックは「54」で6位だ。タックルで倒した相手からボールを奪うジャッカル数で2位のアダム・トムソン、ターンオーバー数で2位のアイブスジャスティンが、パナソニックの攻撃を寸断できるかどうかも見どころの一つ。パナソニックは、粘り強い防御から切り返す攻撃を得意とする。その特徴を消すためには、ミスのない攻撃も不可欠だ。

新たな歴史を創造できるかどうかの大一番である。今季の成長を実感できる試合を期待したい。


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村上晃一

◎プロフィール

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。

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