NEWSニュース

2022.07.25
TEAM

世界を獲ったSHファフ・デクラーク選手 入団会見イベントを日産スタジアムで開催

勝利の術(すべ)を知り尽くし、世界一に輝いた名手がついに日本の土を踏んだ。

ラグビーワールドカップ2019日本大会を制した南アフリカ代表「スプリングボクス」。その9番として優勝に大いに貢献した世界的SHファフ・デクラーク選手が、このほど横浜キヤノンイーグルスに加入した。7月21日(木)にはイーグルスのホストスタジアムのひとつであり、ラグビーワールドカップ2019決勝が行われた日産スタジアム(横浜国際総合競技場)で入団会見イベントが行われ、約50人のメディア関係者、約700人ものイーグルスファンの前に姿を見せた。

会見に先立ち、イーグルスの永友洋司GMと沢木敬介監督が期待を込めて挨拶した。

「この横浜の日産スタジアムで優勝カップを掲げた、スプリングボクスの中心選手です。準々決勝(日本代表が3-26で南アフリカに敗戦)は複雑な心境で私も見ておりましたが、その選手が私どもの仲間になってくれて、今は夢のような気持ちです。数々の世界のトッププレイヤーがリーグワンに入ってきています。どのチームも未来の子供たちに夢を与えられるようなチームを目指していますが、その中心選手として活躍してくれることを願っています」(永友GM)

「今日はこれだけ多くの方々に集まっていただき、注目されていると感じています。世界トップレベルのSHの選手が入団してくれて、良いプレーはもちろん、チームにいろいろな影響を与えてくれると期待しています。イーグルスはチームとしてのカルチャーを築いていかなければならない時期ですが、その中でラグビーに対する取り組み、プロフェッショナルな姿勢がチームのロールモデルになる、そんな選手です。日本のラグビーファンも歓迎してくださっていますので、シーズンを大いに盛り上げていきたいと思います」(沢木監督)

続いて、ファフ・デクラーク選手が笑顔でイーグルスでの第一声をあげた。

「このようなチームの一員になれて本当に光栄です。そして今日、ワールドカップで優勝したこのスタジアムに再び戻ってこられたことをうれしく思います。このチームでトロフィーを勝ち取りたいと意気込んでいますし、世界でもベストなチームと言われるような存在になりたいです。イーグルスの選手たち、そしてコーチ、スタッフが一丸となれば絶対に達成できると思っていますので、今からすごく楽しみです。できる限り多く勝利をして、皆様が誇れるようなパフォーマンスをお見せしたいと思います。そしてプレーだけではなく、若手の選手やファンの皆様にいろいろな面でいい影響を与えていきたいと考えていますので、よろしくお願いします」

メディアからの質疑応答へ移り、イーグルスのホストエリアである横浜市とリーグワンの印象を聞かれたデクラーク選手は、

「横浜はワールドカップの期間中に長く過ごしました。本当にいい街だと思いますし、すごく刺激的です。また日本に戻ってきてその文化に溶け込みたいと思っています。リーグワンで展開されているラグビーは、皆よく走り、よくボールが動くのでワクワクしますし、とても楽しみです。日本のリーグのスタンダードは非常に高くなっていますし、日本人選手も若手がしっかり育っていて成長を感じます。私もこのリーグで自分の力を発揮してチームに貢献したいと思っています。将来の日本のラグビーのためにも頑張りたいと思っています」

と答え、イーグルスのみならず日本ラグビーの将来にも貢献したいという思いを明かした。また、新天地としてイーグルスを選んだ理由を聞かれると、

「チームを選ぶ時はその過去の成績を見るのですが、(その点でも)イーグルスは目まぐるしく成長していると感じましたし、非常に大きなポテンシャルがあると思ったので、ぜひプレーしたいと考えました。友人のジェシー・クリエルからも『コーチ陣もスタッフも含め、すごくいいチームだよ』と聞いていました。日本にはたくさんチームがありますが、横浜という立地が気に入っていたことも理由の一つです。」

と、チームから感じるポテンシャル、立地、南アフリカ代表でともにプレーしてきたCTBジェシー・クリエル選手からの助言などが動機になったと明かした。クリエル選手のみならず南アフリカ出身選手の多くが日本を気に入っていることも移籍を後押ししたという。

「ワールドカップで日本に約10週間滞在した時に日本が気に入りました。ここなら住んで、何年かプレーできるなと思ったのが一つのきっかけです。加えて、日本でプレーする南アフリカの選手たちが日本での生活を楽しんでいると聞いていましたので、その点も大きな魅力でした。日本には素晴らしい文化がありますし、自分もその文化にフィットできると思っています」

続いて、チーム合流後の抱負について問われると、

「まずはチームにしっかりなじまないといけません。チームメイトの名前や顔、その特性、個性を学んでいき、適応していく必要があります。イーグルスは見ていてワクワクするようなエキサイティングなラグビーを展開していますので、自分も早くその一員となってしっかりとプレーしたいと思っていますし、トライをたくさん取りたいです。イーグルスは昨季6位でしたが、より良い成績で終えられるようにグラウンド上で自分のパフォーマンスを発揮したいと思っています」

と力強く語り、早くもリーグワンの開幕を楽しみにしている様子をうかがわせた。そして、リーグワンを通じて来年のワールドカップにどのようにつなげていきたいか、という質問に対しても頼もしく返答した。

「スキルをさらに磨いていきたいと思っています。リーグワンではアタックのチャンスがたくさんあると思いますので、チャンスを見極める力、集中力、知識を十分に発揮して、チームに貢献していきたいです。日本でそれがしっかりできれば国際試合にも必ずつながると思っていますので、リーグワンでスキルを伸ばしていくことが今からすごく楽しみです」

そして、イーグルスの中心選手であり、ハーフ団を組む機会が多くなりそうなSO田村優選手については、ワールドカップなどで受けた印象を語った。

「本当に素晴らしい選手だと思っています。日本代表での彼のプレーは怖いもの知らずで、何でも果敢にチャレンジしている印象です。ジェシー・クリエル選手からチームのことをいろいろ聞いていますが、彼(田村優選手)がチームのスタンダードを上げているそうですね。彼とコンビを組むことになればお互い切磋琢磨して成長できれば、と思っています。FWとBKの間をつなぐ9番(SH)、10番(SO)の良いコンビネーションが強いチームには不可欠ですので、ぜひそうなりたいです」

また、「デクラーク選手に期待することは?」という質問を投げかけられた沢木監督は、

「チーム、コーチ、環境が変わっても、しっかり対応して力を発揮できるのが本当の一流選手です。彼はそういう力を持っていると思いますし、イーグルスのスタイルにもすぐにフィットするでしょう。ワールドカップで優勝しているチームの一員ですから、ウイニングカルチャーを知っていますし、勝つために必要なものをみんなに伝えてくれると思います」

と答え、いちプレイヤーとしての貢献だけでなくチームそのものに好影響をもたらすことを期待した。

会見後に永友GMからイーグルスのファーストジャージーを手渡されると、デクラーク選手はそのジャージーに初めて袖を通して日産スタジアムのピッチに登場。約700人のファンを沸かせた。

トークショーでは様々な話題に触れつつ、チームメイトとなる田村優選手、ジェシー・クリエル選手からのビデオメッセージを笑顔で見届けると、ファンからの質問にも真摯に回答。最後はファンに感謝の意を表してイベントを締めくくった。

「今日は足を運んでいただき、本当にありがとうございました。試合にはみなさんのご家族、ご友人を連れてぜひ応援に来てください。そしてまた会場で、横浜の街で会えることを楽しみにしています。必ずやみなさんが誇れるようなパフォーマンスをお見せしたいと思っていますので、これからもサポートをよろしくお願いします」

日産スタジアムで「誇れるようなパフォーマンス」を直接ファンに誓った不世出のSHが、横浜キヤノンイーグルスの一員として躍動する日が今から待ちきれない。

(記事&写真:齋藤 龍太郎)

  • この記事をシェアする
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE