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選手インタビュー

2021年6月7日 | FL/NO.8エドワード・カーク選手 退団インタビュー

「私はチームマン。自分のことは考えずみんなを助けてきた」

(2018年11月10日 日野レッドドルフィンズ戦・ゲームキャプテン)
(2018年11月10日 日野レッドドルフィンズ戦・ゲームキャプテン)

チームマン。その異名がここまで似合う選手はそう多くはいない。

FLエドワード・カーク選手。サンウルブズへの加入に際してオーストラリアから来日し、その後キヤノンイーグルスの一員となった。常に体を張るプレースタイルの根本にはチーム愛があり、同時に多くの選手、ファンから愛されてきた選手だ。長期に渡りケガに苦しみながらも、チームとして飛躍のシーズンとなった今季は最後の準々決勝パナソニック戦も含め6試合に出場し、いいパフォーマンスを見せた。

今季でイーグルスを去るそのチームマンに、今季とこれまでのシーズンをじっくりと振り返ってもらった。
(取材日:2021年5月24日)


── 結果的に最後のシーズンとなってしまいましたが、今季はどんなシーズンになりましたか?

「開幕戦(NTTドコモ戦)と第3節(パナソニック戦)は出られませんでしたが、残りの試合には出場することができ、いいパフォーマンスができていました。自分としては悪くないシーズンだったと感じています」

── 第4節のヤマハ発動機戦から連勝を重ねていったわけですが、チームの状態の向上を肌で感じていましたか?

「はい。チームは連敗スタートとなりましたが、1試合勝つことができれば自信がつくと思っていました。ヤマハ発動機には長い間勝てていませんでしたので、勝てたことで非常に大きな自信がつき、そこから調子が良くなっていったと感じています」

(2021年3月14日 ヤマハ発動機ジュビロ戦)
(2021年3月14日 ヤマハ発動機ジュビロ戦)

── ヤマハ発動機戦終了後、カーク選手にお話をうかがいました。「今日は負ける気がしなかった」とコメントされていましたね。

「ゲームプランや戦略など、すべて計画され尽くしていた試合でした。それに対して選手たちも自信を持っていましたので、試合後のインタビューでも言ったように試合中は負ける気がしませんでした。勝ったことでさらに自信がついたので、よかったと思っています」

── 沢木敬介監督が就任してチームとして変わったこと、またカーク選手自身の変化についてお聞かせください。

「監督がいつも言っているのは『自信をつけてほしい』、そして『チャレンジしてほしい』ということでした。自信が持てるように練習して、監督からも信頼され、徐々に自信がついていきました。ケガで2年間プレーできずにいましたが、そこから再びラグビーができるようになり自信を持つまでに至ったことは、私にとってはすごく大きな変化だったと思います」

── カーク選手自身も、またチームとしても、自信を取り戻したシーズンとなったわけですね。

「その通りです。私たちだけではなく、ルーキーからCTB三友良平さんらベテランの年代まで全員が自信を持つことができました。しっかりしたプランがあったことで、『強いチームにも勝てる』という自信がついていったのです」

── 今シーズン、特に印象的だった試合をお願いします。

「勝った試合は全部印象深かったのですが、先ほどもお話ししたヤマハ発動機戦に加え、第5節のリコー戦も大きかったと思います。強いチームに勝てたことだけではなく、日本人選手たちのリアクションの早さが特に強く印象に残りました」

(2021年3月27日 リコーブラックラムズ戦)
(2021年3月27日 リコーブラックラムズ戦)

── 日本人選手の話が出ましたが、身近なポジションでは同じFLの杉永亮太選手が今季全試合に先発出場しました。彼の活躍をどう見ていましたか?

「おっしゃるとおり、スギさん(杉永選手)も今季はすごくいいプレーをしていました。私も長い間イーグルスにいて、スギさんの成長過程を見ていましたし、何年か前はパフォーマンスが少し停滞していたようにも見えたのですが、監督が変わってスイッチが入り、自ら成長しようと、また自信をつけようとしていた姿勢が見えました。ずっと一緒にやってきたので、試合で一緒にプレーできて光栄でした」

(2021年3月14日 ヤマハ発動機ジュビロ戦)
(2021年3月14日 ヤマハ発動機ジュビロ戦)

── SO田村優キャプテンの活躍、貢献についてはどのように感じましたか?

「キャプテンとして素晴らしかったと思います。シーズン中もよく話をしながら、彼だけがリードするのではなく私も彼を手伝いましたし、時には『もっとこうした方がいいのでは』とアドバイスをもらうこともありました。試合中だけでなく練習中も遠慮なく率直に指摘してくれるので、そのようなキャプテンこそイーグルスには必要だったのだろうと思います」

── カーク選手自身はどのようのプレーでチームに貢献できたと考えていますか?

「私はチームマンですので自分のことを考えず、もし他の選手が助けてほしいことがあれば手伝い、みんなが楽しい一日を過ごせるようにしてきました。もし選手が自信を持てていないと感じたら私から話しかけて自信をつけてもらう、といったことをしてきました」

── ケガで苦しんだ時期のご自身の経験が、他の選手へのサポートやアドバイスなどに役に立った部分もあるのでしょうか?

「そうですね。長い間プレーしてきたネコさん(HO金子大介選手)も私と同じようにヒザをケガしていましたので、よく話をしてきました。ただ、具体的な助言というよりも、私自身ケガをして2年間ずっとリハビリをしていましたので、それでも試合に出たいという気持ちでリハビリし、ハードワークしてきた姿をみんなに見てもらえた、という実感もあります」

── リハビリの最中にメンタル、モチベーションを保つ苦労もあったのではないでしょうか?

「常にモチベーションを上げておくことは難しいですね。なるべくポジティブでいたいのは確かなのですが、ずっとそうしていられるわけではありませんでした。そんな時は自分よりもひどい状況にいる世界中の苦しんでいる人たちのことを考えて、モチベーションを上げていました。ラグビーを続けられる時間は限られていますので、そこで今できることをやらない限り試合に出られない、そんな気持ちで臨んでいたこともモチベーションにつながりました」

── 今季のようによかったシーズンも、また苦しかったシーズンもずっとイーグルスで過ごしてきた中で、チームを去ることが決まったのはいつ頃だったのでしょうか?

「ヨウジさん(永友洋司GM)とはシーズン中に何度か話したのですが、第3節のパナソニック戦あたりで『(来季の契約は)カーキーのパフォーマンス次第』と言われました。その言葉にとらわれ過ぎずに、自分のパフォーマンスだけに集中してやってきました。私自身は大好きなこのクラブで長期的にプレーしたかったのですが、そのような結果に至りました」

── イーグルスでの4シーズンはカーク選手にとってどんな時間でしたか?

「たくさんの思い出がある4年間でした。今まで会ってきた方々、選手、スタッフ、みんな大好きです。退団は残念ですが、みなさんが優しく接してくれたことに感謝しています」

(2017年9月2日 トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦)
(2017年9月2日 トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦)
(2018年9月15日 クボタスピアーズ戦)
(2018年9月15日 クボタスピアーズ戦)
(2021年5月8日 パナソニックワイルドナイツ戦)
(2021年5月8日 パナソニックワイルドナイツ戦)

── 日本の文化に飛び込むのは勇気が要ったのではないでしょうか?

「サンウルブズ時代から日本にいますが、何も支障なく過ごしてきました。来日して日本の文化を学び、いい人たちと出会い、いいラグビーができたと思っていますし、こういうチャンスをいただけて本当に運がよかったと思っています。いつかは地元のブリスベン(オーストラリア)に帰らなければならないので、日本にいる今のうちに日本語を話せるようになるなどといったチャレンジをしたいと思っています」

── サポートしてくれた選手が多くいた中で、特に仲よくしてきた選手はいますか?

「優さん(SO田村優選手)、庭井さん(HO庭井祐輔選手)、山路さん(元PR山路泰生さん)はサンウルブズでも一緒でした。特に、イーグルスに同じタイミングで入った優さんにはよくしてもらいました。SH天野寿紀選手、FL嶋田直人選手とも仲よくなりましたし、こうした選手とは今後も連絡を取り合うことになると思います」

(2017年10月15日 宗像サニックスブルース戦)
(2017年10月15日 宗像サニックスブルース戦)

── カーク選手を応援してきたファンもたくさんいます。

「日本に来てからファンの方が増えました。ファンの子どもたちもたくさんいて、ケガしている間も彼らからプレゼントやメッセージをいただきました。個人的に御礼のメールを送りましたが、あらためてファンのみなさんには本当に感謝しています。ラグビーの旅は続きます。これからどうなるかはまだわかりませんが、もし他のチームに行ったとしても私を応援してほしいです」

── 今後については未定ということですが、考えている構想などがあればお願いします。

「できればこのまま日本に残り、ラグビーのキャリアを日本で終えたいと考えています。慢性的にケガしているヒザのことやコロナの影響もありますので難しい状況ではありますが、今季はパフォーマンスが上がり試合にも出場することができたので、できればこのままあと5、6年は現役を続けたいです。新リーグでもプレーできるといいのですが、オファーが来るか、契約できるかはまだわかりません。もしかしたらブリスベンに帰らなければいけなくなるかもしれませんが、もし現役を終えることになったらコーチングを学んでいきたいと思っています」

── イーグルスのファンに向けて最後にご挨拶をお願いします。

「私宛にメッセージをお送りいただくなど応援してくださり、感謝しています。特に家族みんなで応援してくれた方々、子どもたち、本当にありがとうございました。私の家族も日本のサポーターのみなさんと一緒に観戦し、応援することをすごく楽しみにしていました。イーグルスのファンのみなさんには会えなくなりそうで寂しくなりますが、イーグルスは成長し続けているチームなので、このまま熱い応援をしながら見守っていただければうれしいです」


次なるラグビーキャリアが不透明な中でもファンへの感謝を欠かすことはなく、引き続きイーグルスの応援を呼びかけるエドワード・カーク選手。冒頭で記した、また本人も触れた「チームマン」としての姿勢こそ、彼の最大の魅力であり武器であったといえるだろう。

日本のファンを大いに沸かせてくれた、そして日本を愛してくれた偉大なオージーに今こそ拍手を送りたい。

(インタビュー&構成:齋藤 龍太郎)

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