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選手インタビュー

2021年9月18日 | 新加入選手インタビュー SH山菅一史選手

■「やるべきことをやれば9番を背負うことができる」

ジャパンラグビー リーグワン(以下「リーグワン」)開幕に向けて、さらなる進化を遂げようとしている横浜キヤノンイーグルス。ジャパンラグビー トップリーグ(以下「トップリーグ」)から移行する節目のシーズンだけに、これまで以上の好成績を目指すべく選手、コーチ、スタッフ陣は早くからハードワークに勤しんでいる。

選手層を厚くする強化策の一つとして、新たな選手を迎え入れる動きも進んでいる。昨シーズンはトップチャレンジリーグの栗田工業ウォーターガッシュ(現クリタウォーターガッシュ昭島)で活躍していた山菅一史もその一人だ。東京高校、東海大学と名門を歩んできたスキルフルなSHが、今夏イーグルスの門を叩いた。

リーグワンのディビジョン1というレベルの高いカテゴリーへの挑戦を決めた理由は何だったのか。そしてイーグルスに移籍して真っ先に感じたこととは。ポジション争いに燃える山菅に話を聞いた。
(取材日:2021年9月7日)


■もう一度ラグビーを本気でやりたい

──イーグルスに移籍して、このグラウンドで練習を開始したのはいつ頃からでしょうか?

「8月からです。レベルの高い選手がたくさんいますので、新しい環境で毎日刺激をもらっています」

──移籍前から接点のあった選手が何人かいますね。

「はい。CTB山本雄貴とPR安昌豪はU20日本代表で、CTBソフィー(ソセフォ ファカタヴァ)は高校の東京都選抜で一緒でした。東海大学の先輩にはPR五十嵐優さんとLO安井龍太さん、後輩にはFL/No.8吉田大亮がいます」

──栗田工業からの移籍はいつから考えていたのでしょうか?

「去年の夏頃には考え始めていました。トップチャレンジリーグでやっていたわけですが、周りの同期の選手が上のカテゴリー(トップリーグ)で活躍しているのを見て『いいなあ。自分もそこでやりたいなあ』という気持ちが強くなり、移籍を考えるようになりました」

──特に活躍が気になっていた同世代の選手はいますか?

「やはり、よく見ていたのはSH齋藤直人選手やCTB/WTB中野将伍選手です。東海大学の同期ではPR中野幹選手(以上、東京サントリーサンゴリアス)、CTB眞野泰地選手(東芝ブレイブルーパス東京)、HO新井望友選手(NECグリーンロケッツ東葛)ですね。同期にはいい選手がたくさんいます」

──同じポジションの齋藤直人選手は日本代表にも選ばれました。

「SHとしてのタイプが違うのでライバル意識が特別あるわけではないのですが、基本的な能力が一番高い選手だと思いますし、心からリスペクトしています」

──栗田工業で1シーズンを戦いながら同世代の選手の活躍に触発され、より高いレベルでプレーしたい気持ちになったわけですね。

「栗田工業にいながらすぐ上のカテゴリーに上がってプレーすることは難しいと感じていましたので、自分の可能性を広げるためにも移籍したいと考えるようになりました。フルタイムでの社業と練習の両立が難しかったので、そういった面も踏まえて移籍を決意しました。とはいえ、栗田工業にいたことで『ラグビーが本当に好きなんだ』『もう一度ラグビーを本気でやりたい』という気持ちに気づいたことは大きかったですし、感謝しています」

──イーグルスに移籍してから、一日の使い方などが大きく変わったのではないでしょうか?

「栗田工業では朝から仕事で、練習が夜の7時頃から始まり、帰宅は10時半から11時になり、次の日の準備をして寝て、翌朝出勤という毎日でした。それに比べると、今はラグビーに費やせる時間がたくさんあり、体のケアやラグビーの勉強にも時間を充てることができています」

■柔道・サッカー・レスリングからラグビーへ

──ラグビーを始めた頃の話をお聞かせください。

「競技歴は中1からです。恩師である長島章先生の指導で有名だった世田谷区立千歳中学校に入学して、ラグビーを始めました。家は近かったとはいえ学区外だったので手続きをして入学したのですが、越境して通う部員は他にも結構いました」

──それまでラグビー経験は全くなかったわけですよね。

「はい。小学生時代は柔道、サッカー、レスリングをやっていました。中学進学後は強豪校で柔道を続ける話もあったのですが、坊主頭にするのが嫌で断りました。地元の中学校で卓球を始めようとしていたのですが、親から『千歳中学校にはラグビー部がある。柔道とサッカーとレスリングを混ぜたらラグビーになるのでは』と勧められて、自分も納得して千歳中学校に入学しラグビーを始めた、という流れです」

──当時、東海大学の先輩にあたる豊島翔平選手(東芝ブレイブルーパス東京)と接点があったそうですね。

「長島先生の、別の中学校(中野区立北中野中学校)の教え子だそうです。その関係もあってか、自分が中1の時に豊島選手が教育実習に来てくれました。ラグビーも含めいろいろ教えていただき、当時からすごい選手だと思っていました。あれから10年以上経った今、対戦できる可能性が出てきたので個人的には楽しみです」

──SHとしての、ご自身の武器をお教えください。

「大学2年生の時にSHへ転向したのですが、その前はCTBをやっていたので、ディフェンスは得意です。他のSHの選手との違いはディフェンスに出ていると思いますし、自分の武器だと思っています」

──なぜ大学の途中でSHに転向したのでしょうか。

「木村季由監督(東海大学)に『ちょっとSHをやってみないか』と言われ、最初は冗談かなと思っていたのですが、このままCTBを続けていても先がないようだったので、ならばSHで勝負しようと決意しました」

──それ以前はどんなポジションを経験したのでしょうか?

「中高はバックスリー(WTB/FB)やSOをやっていました。ですからBKは全ポジション経験したことになります」

──全国高校ラグビー大会でも活躍されました。

「東京高校1、2年の時にSO/FBとして花園に出場しました。東海大学に進学した直後はWTBをやっていたのですが、練習試合でCTBの選手がケガしたことでたまたまCTBに入ったらうまくはまり、上のチームに上がることができました。CTBになったことでタックルに磨きをかけることができたと思っています」

■やるべきことをグラウンドでやり切れるかどうかに尽きる

──今回、移籍して強く感じたこと、以前の環境との違いをお聞かせください。

「真っ先に感じた一番の違いは、どんなことに対しても全員ポジティブなことです。練習中の一つ一つのプレーも前向きですし、そもそも日頃の雰囲気自体が明るく、きつい練習でもみんなポジティブに取り組んでいます。みんな自分によく話しかけてくれることも含め、すごくいいチームだな、というのが第一印象でした」

──沢木敬介監督の指導を受けて、どう感じていますか?

「じっくりとお話ししたわけではないのですが、言うべきことをはっきり言う監督です。もちろん厳しい面もあるのですが、その中に愛情があると感じています。うまくできていないプレーについてしっかりと指摘してくれますし、その指摘が選手にとってすごくわかりやすいので、改善もしやすいです」

──具体的に指摘されている課題は何でしょうか?

「SHなので、やはりパスですね。練習中に沢木監督から『もっとしっかり放れ』と言われています」

──他のSHの選手から助言を受けることもあるのでしょうか?

「荒井康植さんや天野寿紀さんとは一緒に個人練習をやってきました。2人ともスキルが高くて、パスだけでなくキックなどについても大事なポイントを具体的に教えてくれるので、本当に勉強になっています」

──また、同じハーフ団のSO田村優選手と練習して感じたことがあればお願いします。

「一つ一つのプレーを見ているだけでも気が引き締まります。まだ接する時はすごく緊張しますし、気軽に『優さん』と呼ぶのも気が引けるほどです(笑)」

──SHとして5年目を迎えた今、課題とされているパスの精度が高まってきたという実感はありますか?

「SHをやり始めた頃から比べるとうまくはなっていると思いますが、まだまだです。もっときれいにボールをさばかないと試合には出られないと思っていますので、スキルアップしていきたいです」

──イーグルスの9番を背負うために必要なことは何でしょうか?

「昨シーズンの試合を見ていてもわかるように、自陣からでもどんどんボールを回していくスタイルですので、フィットネスはもちろん高度なパススキルが必要です。アタックを継続させるためにも、ミスなく安定したパフォーマンスを見せることが大事だと思っています」

──ご自身のパフォーマンスの安定度についてはどう評価していますか?

「SHをやり始めた頃はブレイクダウンでのボールさばきが非常に難しく、うまくいかない時もあったのですが、今はブレイクダウンで相手から圧力をかけられていてもある程度さばけるようになってきました。そういう意味では安定しつつあると思っていますが、もっともっとパススキルを上げていかないといけません」

──チームとしてはトップ4に勝つことをターゲットとして掲げています。レベルの高い相手と対戦することについて、どのように捉えていますか?

「イーグルスとしてやるべきことをグラウンドでやり切れば問題なく勝てる、そういうチームだと思っています。やり切れるかどうか。全てはそれに尽きますね」

──山菅選手個人としてはどのような目標をお持ちでしょうか?

「最終的な大きな目標としては日本代表です。ただ、まずはイーグルスで試合に出て、しっかり経験を積んでから見据えていきたいと思っています」

──試合に出るためには、同じポジションの荒井選手や天野選手らに勝たなければなりません。

「そうですね。SHとしてやるべきことをやれば9番を背負うことができると思っています。そのためにも自分の強みであるディフェンスで差をつけたいですね」


SHとして一番磨くべきプレーがパスであることに疑いの余地はないが、もちろん必要な要素はそれだけではない。たとえサイズが小さくても体を張り、大きい相手に対しても果敢にタックルして敵のアタックを寸断することも大事な仕事の一つだ。

パススキルが課題であることを認め、一層磨きをかけていくことを誓った山菅選手だが、その一方でディフェンス面については大いに自信を持っている。スキルフルな先輩SH陣とは違ったカラーを出しながら一層パスに磨きをかけていけば、9番を背負う日はそう遠からず訪れることだろう。その日が来るのが今から楽しみだが、一番楽しみにしているのは山菅選手自身に違いない。

(インタビュー&写真撮影:齋藤龍太郎)

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