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選手インタビュー

2021年9月20日 | 新加入選手インタビュー CTB梶村祐介選手

■「しっかりと前に進めば結果はついてくる」

ジャパンラグビー リーグワン(以下「リーグワン」)ディビジョン1の記念すべき初シーズンを迎えようとしている横浜キヤノンイーグルス。チーム名も変わり、選手・スタッフともに心機一転、次なるシーズンに向けて動き始めた中、日本代表歴を持つ期待のプレイヤーが新たにイーグルスの一員となった。

梶村祐介。旧サントリーサンゴリアス(現 東京サントリーサンゴリアス)で3シーズン活躍したインサイドCTBだ。2013年、報徳学園高校3年時には当時日本代表ヘッドコーチだったエディー・ジョーンズに認められ、日本代表合宿に招集された。以後、明治大学、サントリーで活躍し、2018年には日本代表初キャップを獲得するなど高い実力を見せてきたが、このほどイーグルスへと活躍の場を移すこととなった。

リーグもチームも大きく変化する節目の年に、移籍という大きな決断を下したのは何故なのか。すっかりイーグルスに溶け込み練習で汗を流す梶村に、その理由や今後について聞いた。
(取材日:2021年9月7日)


■環境を変えて気持ちを新たに再出発

──イーグルスの一員としてはいつ頃から活動を始めたのでしょうか?

「7月です。移籍を発表した次の週から個人練習を始めていました。いいコンディションでチームの始動に合わせることができたので、よかったと思っています」

──移籍を決断した理由、動機をお願いします。

「サントリーでの直近の3年間で公式戦に先発した試合数はトータルで10試合に達していませんでした。この年齢(26歳)でその試合数では、自分が成長していく上でプラスにはならないと感じていました。トップリーグ2021シーズンのプレーオフトーナメント準決勝、クボタスピアーズ戦で、拮抗した展開の中でラスト10分程度しかプレータイムをもらうことができず、そこで『サントリーを出よう』と決断しました」

──ご自身の自信と評価に乖離があったのでしょうか?

「実際、サントリーには同じポジションに中村亮土選手(日本代表)やサム・ケレビ選手(オーストラリア代表)がいましたので、自分が実力で上回っているとは思っていませんでした。ただ、このチームで12番を張れるとずっと思っていましたし、試合に出続ければもっと成長できると考えていました。それでも成長する機会をなかなか与えていただけなかったのです。練習でいい選手たちと毎日競い合うことでも成長はできますが、やはり試合に出ないと成長の度合いが少なくなりますので、思い切ってチームを出ようと決断しました。もちろん、どのチームに移籍しても競争はありますし、移籍したからといって確実に出場できるわけではありませんが、環境を変えて気持ちを新たに再出発したいなと考えました」

──沢木敬介監督にはサントリー1年目以来、再び薫陶を受ける形になります。

「はい。それ以前にも高校3年生時に日本代表でもお世話になっていますし、すごく自分を成長させてくれる方だなと感じていたので、今回声をかけていただいてありがたかったです。自分のキャリアの初期から関わっていただいている方なので、また一緒に活動できるのはすごく楽しみですね」

──イーグルスに移籍して、沢木監督の指導を受けてあらためてどのように感じていますか?

「サントリーの1年目と比べると、いろいろなことを求めてくださいます。当時は『これだけはしておきなさい』といった助言をいただいていて、それがきっかけで日本代表に呼んでいただくなどお世話になってきたのですが、いろいろな経験を積み重ねてきた今は以前よりも多くのことを求められていると感じています。練習でもいい緊張感を保ってくれていますので、僕も日々成長できているなと感じています」

──松井千士選手もサントリーで一緒でしたね。

「はい。千士さんは高校、U20時代からずっと一緒に代表でプレーさせてもらって、サントリーでも1年間一緒でした。イーグルスには他にも学生時代の先輩、後輩、同期もいますが、BKの選手の中で一番長く一緒にプレーしてきたのは千士さんですね。同じチームから移籍してきたという点も似ていますし、お互い考えていることもわかります。千士さんのことは信頼していますので、早く一緒にプレーしたいですね」

──他にもイーグルスに実際に来て感じたことがあればお願いします。

「グラウンドに優さん(SO田村優)がいることは大きいですね。スキル面で勉強になりますし、自分がどれだけいいプレーをしたと思っても優さんがいると『もっと練習しないといけない』と思わせてくれますので、近くにレベルの高い選手がいることは自分にとってプラスです。自分も含め、特に若い日本人選手はもっとスキルを上げていかないといけないので、自分がリーダーシップを意識して若手を引っ張っていかなければ、と考えています」

──やりやすい環境、そしてためになる環境での再出発ということになります。

「そうですね。サントリーでは試合に出られない時期が続いて、その環境に慣れてしまい、自分にプレッシャーをかけられない状態が続いていました。これを機にもう一度プレッシャーをかけて、もっとラグビーを楽しみながらチームに貢献したいと思っています」

■必要なのはこのチームの中で信頼を得ること

──あらためて、ご自身の武器をお教えください。

「やはりボールを持った時のプレー、具体的にはランニングが一番の強みだと思っています。自信のあるランニングスピードでしっかり勝負していきたいです。2021シーズンは他に考えることが多過ぎて、自分の武器を失い中途半端な選手になってしまったので、もう一度原点に返って自分の武器を取り戻したいと思っています」

──そういった武器を来季、ピッチで見せられそうな感触はつかめていますか?

「まずは1シーズン通してパフォーマンスをしっかり安定させたいです。パフォーマンスがいい試合や悪い試合があるのではなく、とにかくいい状態を1シーズン維持し続けたいと考えています」

──逆に課題や、もっと伸ばしていきたい点があればお願いします。

「ディフェンスが課題だとずっと言われてきました。ただ、2021シーズンは年間通して90%以上のタックル成功率をキープすることができ、ディフェンス面はかなりよくなっていると思います。ただ、繰り返しになりますがパフォーマンスの上下が激しいタイプですので、もし調子が悪くてもある程度のパフォーマンスを発揮できる選手にならないといけないと思っています。そんな選手像を目指していきたいですね」

──リーグワン開幕の頃には、ご自身が目指す選手像に近づけているでしょうか?

「新しいリーグになり、外国人選手も次々と入ってきます。能力で言えばそういった選手たちの方が現時点は格上かもしれませんが、いい準備をして成長していけば勝負できるはずですし、しっかりと前に進めば結果はついてくると考えています」

──高校時代からエリート街道を歩んでいるイメージでしたが、天才肌ではなく努力型と自負されてるそうですね。

「自分としてはエリートみたいな自覚はありません。エディーさんに声をかけていただいた時も実力で呼んでいただいたわけではなく、経験を積むために呼んでいただきました。そこから代表デビューまで5年ぐらいかかりましたが、努力を続けてきました。ただ、結果はついてきていないので、今回の新しいスタートを機にしっかり結果を残していきたいと思っています」

──イーグルスの12番、すなわち先発のインサイドCTBの座をつかむために必要なことは何でしょうか?

「まずはこのチームの中で信頼を得ることです。日々の練習、そして練習後の振る舞いを通じて、常に仲間からリスペクトされるような選手でいたいと思っています。そのために今自分がやるべきことをやっていきます。12番としては南橋(直哉)さん、田畑(凌)とポジションを争うことになると思っています。2人ともランニングが強みですが、その点は僕も強みにしていますし、もちろん競い合いながらお互い高め合い、かつ2人との違いを出していきたいと考えています」

■「もっとラグビーがしたい」という思いだけ

──チームとして掲げているターゲットをお教えください。

「トップ4(上位4位)以上に入らないといけないので、昨シーズンのトップ4のチームに勝利して、シーズンが終わる時にその位置にいたいと思っています」

──その上では、強い古巣にも勝たなければなりません。

「サントリーだけを特別意識することはないと思いますが、倒すべきチームの一つと認識しています。3年間プレーしていた分、どこにプレッシャーをかければサントリーが嫌がるかということもわかっていますので、そういうこともイーグルスに浸透させたいと思っています」

──チームの目標とは別に、一選手としてのターゲットをお聞かせください。

「リーグワン1年目はベストフィフティーンを狙っています。そのためには毎週いい準備をして試合に出続け、毎試合高いパフォーマンスを発揮しないといけないですが、長いシーズンを安定して戦い抜いてベストフィフティーンを獲りたいと思っています。単純に試合数が増えることも楽しみです。毎年これからというところでシーズンが終わったしまうことが多かったのですが、これまでよりも多くの試合を経験しケガなく戦えれば選手としてもう一、二段階成長できると思っていますし、よりタフな人間になれると思っていますので、そういう意味でも大事なシーズンになると考えています」

──もしベストフィフティーンを受賞すれば、近いうちに代表復帰も見えてきそうです。

「その前に、まずはこのチームにしっかりとフォーカスを当てて、このチームでパフォーマンスを発揮することが先決です。その先に代表が見えてくると考えていますので、今はまずイーグルスのシーズンを戦い抜きたいと考えています。リーグワンのシーズン後の日本代表は少なからず選手の入れ替えがあると思っていますので、そこで選出されるためにもイーグルスでいいシーズンを過ごしたいと思っています」

──次のワールドカップは27~28歳で迎えることになります。

「もちろんワールドカップ出場をターゲットにしていることは間違いないのですが、今は『ただラグビーがしたい』『若いうちにもっとラグビーがしたい』という思いでやっています。それだけです」


個人として目指すのは日本代表としてもう一花咲かせ、ワールドカップの舞台に立つことだが、その前にやるべきことがある。リーグワン1年目でイーグルスのさらなる躍進に貢献し、ベストフィフティーンに選ばれるまでに成長することだ。

トップ4、そしてそれ以上を目指すチームにとって、梶村の姿勢や向上心は欠かせないものになるはずだ。周りの選手を感化させ、チームの成長曲線を引っ張るほど大きな進化を遂げることができれば、いずれは日本代表にとっても欠かせない選手になることだろう。

(インタビュー&写真撮影:齋藤龍太郎)

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