昨シーズンをもってイーグルスの選手を引退し、今シーズンよりアシスタントバックスコーチ（兼副務）に就任した田井中さんにお話を伺いました。

■選手時代との違い

今は選手の時とはまったく違う気持ちでグラウンドにいます。やはりコーチになるといかに練習時間を効率的に管理し、その中でどうすればスムーズに練習を進められるかを考えます。 最近は、今まで自分がどういう指導を受けてきたかと考えたり、今村さん（今村友基バックスコーチ）が指導してきたことを考え、自分としてどうしようかと考えているところです。指導方針や具体的な指導内容について今村さんとも良く話をします。意見もほとんど一致します。またお互いに率直に意見を交換できる環境にあるのはありがたいです。

■永友監督からの選手との双方向コミュニケーションを大切にしてほしいというコーチへの期待

去年まで選手として今のメンバーと一緒にやってきたので、今のメンバーがどういう考えを持っているかはわかります。選手は一人ひとり個性がありますし、それぞれが意見を持っていることもわかっています。また去年まで同じ選手として苦労してきた仲ですからコミュニケーションはうまくいくのではないか思っています。もしかしたら立場が変わると難しくなるのかも知れませんが・・・。そういう意味では、これからコーチングする場合にやりやすいのかなと思ってます。

■コーチの面白いところ、大変なところ

コーチとしてやりがいを感じるのは、アドバイスしたことに気づいてもらえた時、選手がうまく修正できた時ですね。 チーム内ではベテランの方でしたから選手の時から先輩として自分が持っているものは教えようという気持ちは持っていました。しかし選手同士だと聞きづらいところもあるようでした。でも今はコーチという肩書があるので選手側に変な遠慮はなくなるのではないかと思っています。どんどん質問してほしいと思います。 逆に大変なことは、選手が疲れている時に選手にどう集中させるかを考えていくところですかね。ラグビーの場合も反復練習はとても大切なんですが、やはり単調だとどうしてもだらけてしまうし、そうなるとけがもしやすくなるので、そうならないように注意を払いたいです。

■目指すコーチ像

誰とは言えませんが、今まで（選手時代に）この人のコーチングは良かったと思う人はいます。その方のすべてを真似しようとは思いませんが、良いところは取り入れてみたいなあと思っています。特に今の段階では目指しているコーチ像があるわけではありません。今31歳ですが、これからじっくりとコーチ、コーチングについて勉強していきたいと思っています。機会があればコーチングの研修やスクールにも行ってみたいと思います。

■アルベルトとキース（ギデオン）

今年からアルベルトとキースも新しくキヤノンイーグルスのコーチになりました。アシスタントヘッドコーチに就任したアルベルトとは草創期のイーグルスで一緒にプレーをしていたこともあり、お互い良く分かっています。キースとは初めてですがとても率直で誠実な印象です。アルベルトもキースもまずプレイヤーとして一流中の一流、そしてその後コーチとしての経験も積んでいますので、見ているとコーチングに芯があるというか、しっかりした信念を持ってコーチングしているように感じます。

■今シーズンの目標

一言で言うと「バックス陣の底上げ」、これが僕の目標です。これから先A,Bとチームが別れていった時に特にBチームのメンバーのモチベーションをキープして、さらにスキルを上げるようにサポートしたいと思っています。具体的には選手と一緒になってプレーのレビューを練習中でも練習後でもやって、本人に自覚させる。気づかせるということに注力したいです。自分で気付かないと（納得しないと）なかなか本当に良く修正することはできないと思っています。押し付けるのではなく、気付かせる、これが僕のやり方かもしれません。
今年のトップリーグのスケジュールは変則で開幕が遅くなります。それまでいろいろな練習、練習試合を積み重ね、プレシーズンリーグを戦って、トップリーグを迎えます。じっくりとしかし確実に修正すべきところを修正し、優勝できるようコーチとして貢献したいと思います。