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スタッフインタビュー

2016年4月28日 | 永友監督インタビュー

永友洋司監督

4月11日にチームとしてのキックオフミーティングを開き、新体制・チーム方針等が発表され、23日にはチームの団結をたかめるための箱根合宿も行われ、いよいよ2016-2017シーズンに向けた活動が本格化してきたところです。
今年もチームを率いる永友洋司監督に、昨年に続きロングインタビューを行いました。前半では昨シーズンを振り返っていただき、後半に今シーズンに対する考えをお聞きしました。

昨シーズン

トップリーグ4シーズン目を終え、これまで11位、7位、7位、6位と順調に順位を上げてきたわけですが、昨シーズンの6位についてはどう思いますか?

永友洋司監督

― 昨シーズンの成績を超えられたというのはまず選手たちの頑張りに尽きます。またそれらを支えてくれたスタッフ、会社からの支援のおかげです。どのチームも必死で取り組んでいる中で順位を上げられたということはそれなりに立派なことだと思います。しかしながら、自分自身への評価という意味では納得できるものではありませんでした。自分としては日本一という高い目標を掲げてやってきたわけですから、その目標に到達できなかったこと、選手たちをそこまで導いてあげることができなかったことを深く反省しています。
みんなが切磋琢磨する環境での中で順位を一つでもあげることは大変なんですが、我々の目標は高いのでここで満足していてはいけないと思います。

ところで昨シーズンはRWCの関係で短期決戦型になりましたが、そのことはキヤノンにとってどう影響したのでしょうか?

永友洋司監督

― 公式戦のスタートが遅く、それまでのシーズンよりも準備する期間が長くとれたので、その点はキヤノンにとってはプラスに働いたと思います。新しいスタイルのラグビーを行いたいと考え、どの試合も勝つに越したことはないのですが、プレシーズンは調整とわりきりました。プレシーズンでは苦しみましたが、選手たちは良く我慢して新しいラグビーに取り組み続けてくれたと思います。
公式戦のゲーム数は少なくなりましたが、日程はとてもタイトで、ピーキングの持って行き方、疲労の蓄積をどこで解消したら良いかなどを考えるのが難しかったです。
連戦で地方戦、飛行機や新幹線での移動が多いスケジュールでした。実は飛行機での移動というのは気圧が変わることで少なからず体調に影響を与えるものなんです。また新幹線での移動もある程度長い時間同じ姿勢でいなければならないのでやはり負担になります。

そうした準備が結実したのはリーグ戦でのトヨタ戦だったのしょうか?

― そうですね。いろいろと考えてあのトヨタ戦にはフレッシュなメンバーで臨むことを決めました。総合的に考えた結果でした。またフレッシュなメンバーでも戦えるという判断を下すことができるほど、フレッシュなメンバーのレベルアップや強い気持ちを感じていました。おかげ様でうまくいきました。出場した選手たちが良い準備をしてくれたということです。

昨シーズン、どの試合も大切な試合でしたが、あえて印象に残る試合をあげるとどの試合になりますか?

永友洋司監督

― そうですね。勝ったゲームとしては先ほども話しましたが、リーグ戦でのトヨタ戦です。チーム全体としての力がついてきたことを実感するゲームだったと思います。
一方負けたゲームとしては、悔しさからすると、リーグ戦最後のヤマハ戦ですね。トップリーグ史上最高の観客数を記録した秩父宮でのあの一戦、あれだけの観衆の中で勝ちたかったですね。お互い勝てばリーグ戦を1位通過できる可能性のあった試合、残念ながら負けてしまいました。ヤマハさんのプレッシャーが強く、ペナルティーが多くなってしまい、イエローカードが出て人数まで少なくなってしまいました。結局自分たちのプレーができないから、相手に追い詰められ、反則してしまう(させられてしまう)という悪循環に陥ってしまいました。
強いチームはどういう状況に置かれても普段どおりの力が出せるので、まだまだと感じさせられた試合でした。

昨シーズンが始まった頃に何度か取材の中で「今シーズンは新しいシステムを取り入れる」という言葉が出てきましたが、シーズン前、シーズン中には具体的にどういうものなのかはあまり詳しくは教えてもらえませんでした。今だから話せるという範囲で教えてくれますか?

― まだ今年もその戦い方の完成を目指すので具体的なところまでは話せません(笑)、が、概念をお話しすると、アタックのシステムを少し変えたということです。以前はグラウンドの中で「人」を動かすラグビー、人が動いてそこにボールをつないでいく、ボールがわたるというラグビーを目指していたんですが、昨シーズンからはより「ボール」を動かすラグビー、ボールを動かし、そこに人が行くような、グラウンドより大きく使うラグビー、ボールが動くラグビーを目指しています。

昨年はスタッツをみても明らかですが、反則、ペナルティーが多かったのですが、原因はどこにあったのでしょうか?

永友洋司監督

― 反則をしてはけないのは、選手たち全員もちろんわかっていることなんです。反則を減らす、しないようにするというのは今年のターゲットの一つにして、対策に取り組もうと思っています。ほとんどの反則というのは相手から圧力をかけられている場面で起こります。ラグビーはコンタクトスポーツ、特にボールの争奪戦、ブレイクダウン、体と体のぶつかり合いのところで反則が半分以上になります。結局そういう場面で相手に圧力をかけられてしまうので、相手のプレーを邪魔するポジションから早く動けない(ノットロールアウェイ)、下がってからプレーしなければいけないのに下がれない(オフサイド)、離してしまったら相手にボールを奪われるので味方が来るまで何とかキープしたい(ノットリリースザボール)等がおこります。
選手たちは何故反則になったか分かっています。分かっているけどコンタクトで負けているので犯してしまうのです。そういう意味から、結局強くしないと改善されないといえます。

今シーズン

それでは話を今シーズンのことに移したいと思いますが、まず新体制について教えてください。

永友洋司監督

― 昨シーズンは橋野(キャプテン)、庭井(バイスキャプテン)、三友(バイスキャプテン)、というリーダーたちを先頭にチームが頑張ってくれました。橋野は言葉でもプレーでもチームを十分に鼓舞してくれたと思います。そして庭井、三友の2人は縁の下の力持ち、目立たないところで橋野をサポート、ゲームでも体を張りチームを支えてくれました。とてもまとまったリーダーたちだったと思っています。そう思いましたが、今年は新たなチャレンジもあるので変えました。
新キャプテンには庭井、FWリーダーとしてバイスキャプテンに植松、BKはベネットにバイスキャプテンになってもらうことにしました。私のリーダーの選び方はいつもぶれずに同じ考えでやってきました。それはプレイヤーから、仲間からリスペクトされているかどうかという点です。今回の選んだ3人も同じです。仲間、コーチ陣、スタッフ陣から信頼され尊敬されている人間であるかどうかです。
正直なところ、昨シーズンの体制を継続することも考えたのですが、橋野がオリンピック代表候補になったので、二足の草鞋は難しい、イーグルスのキャプテンの重責とオリンピック代表候補の両立は難しいと考えました。橋野には会社の代表としてオリンピック出場を目指す環境に専念させてあげたいと思いました。
今シーズンキャプテンになってもらった庭井はまだ若いんですが、大学時代からキャプテンを務め、チームを一つの目標に向かって纏め上げることができる人物です。どちらかと言えば言葉よりも態度でみんなを引っ張って行くタイプですが、最近はしっかりとチームのための意見を発信してくれるようになりました。誰からもリスペクトされる存在です。植松は昨シーズン、あのトヨタ戦でゲームキャプテンを任された選手です。試合に出られない時が長かったですが、ずっと努力し続けてきた選手です。チームのことをとても強く思ってくれている選手です。
それともう一人のバイスキャプテンにはティム・ベネットになってもらいました。実は今シーズンからオンフィールドで外国人3人までOKという新ルールが導入されるので、外国人の出場機会が増えると思われます。そういう新たな環境の中で、ティムが日本人と外国人選手の架け橋となってくれることを期待しています。彼はイーグルスに入団して4年目、だいぶイーグルスのこと、日本のことへの理解が深まったと思います。昨年ルルーが入ってきた時も、よく話して彼の理解を深めてくれたと思います。今シーズンも、来てまもないJC・ルースの送り迎えをしたり、仲間への思いやりがあり、人間的にも大きく成長していると思います。私は普段から彼のことを「グッドマン」と呼んでいます。
庭井、植松、ベネットの3人が、昨シーズン以上の良いチームに纏め上げてくれることをとても期待しています。それができる3人だと思います。

チームスピリッツ、モットー等についてお話ください。

永友洋司監督

― イーグルスを率いてだいぶ時間が経ちましたが、まだキヤノンイーグルスというチームを一言で言い表せるようなチームになっていない、チームの文化が完成されてはいないと感じています。「スピリッツ」は今年も今まで掲げ続けた3つを継続します。イーグルスとして絶対に忘れてはいけない、一番ラグビーにとって大事な3つの言葉、「リスペクト」、「ディシプリン」、そして「パッション」です。
モットーの「チームファースト」に関しては、実は新シーズンを迎えるにあたり変えようかなと思いましたが、最終的には変えないことにしました。正直ちょっと迷いました。昨シーズンを振り返って、順位は上がったものの、自分の中でやりきれなかったことが少なからずありました。昨シーズン掲げたモットーがチームに浸透したか、徹底されたか、と考えるとまだまだでした。掲げたモットーを変えるのではなく完成させたいと思うようになり、今シーズンも継続しようと決めました。今シーズンは昨シーズン作り上げたものをさらに強化する、ある意味2年目だと考えています。このチームを率いては8年目になりますが、昨年から新しいスタイルのラグビーに挑戦し始めましたので、新しいチーム作りということで2年目、これを完成させたいという思いが強くなりました。
オンザフィールドでもオフザフィールドでも同じです。常にチームのことを考えて行動する「チームファースト」、まさにこの言葉の徹底を求めたいです。チームには特にボールを持っていないところでどうチームに貢献できるか引き続き深く考えて欲しいと思っています。

今シーズンのチーム目標に「ビートパナソニック!」を掲げられていたと思います。今までになく具体的な表現の目標かと思いますが、どんな狙いがあるのでしょうか?

― そうですね、パナソニックさんを倒すという具体的な、直接的な目標を掲げさせてもらいました。私の意識の中ではパナソニックさんを倒せるチームが日本一。パナソニックさんというチームは僕自身が本当に尊敬しているチームでして、同時にこういうチームを倒したいなと思わせるチームです。パナソニックさんにはすばらしいチーム文化があり、実績もともなっています。このチームを倒せるチームが日本一にふさわしいチームなんだろうと思っています。選手たちにもこのチームを倒したいと思って欲しいですね。
目標は日本一と今までも言ってきましたが、こういう表現はより具体的にイメージがわきやすいのではないかと思います。もし、うちの選手たちがそんなの無理だと思うようでは駄目でしょうね。選手たちがパナソニックさんを倒すんだ、そういう気になるように肉体的にも精神的にも鍛えたいと思っています。パナソニックさんに勝てるようなチームを作ればどのチームにも通用するはずです。奥がましいのは重々承知していますが、この目標を今シーズンは掲げさせていただきたいと思います。

今年の選手の補強についてはいかがでしょうか?

永友洋司監督

― ルーキーとして大卒新人が3人、その他日本人選手、外国人選手も数名補強していただけました。チームに必要な補強ができたと思っています。
新しい選手の入団はチームにとって積み重ねの部分なんですが、大事なのは今までいた選手たちがどれだけレベルアップできるかだと思います。その上で新しい戦力を理解して、新しい戦力を今までの戦力とどう組み合わせていくか、どう効果を出すかを僕としてはしっかり考えていくつもりです。
新加入の選手たちはそれぞれ素晴らしいものを持っています。ここで全員についてコメントすることはできませんが、少しお話しすると、まず南アから来たJC・ルース。彼は、たぶんスタンドオフに入る選手なんですが、今年から外国人枠が3人に増えたことによって出番が回ってくる可能性のある選手だと思います。彼にイーグルスのラグビーを理解させて、チーム力のアップを図れるかが大事なポイントの一つと考えています。彼は非常に勉強熱心で、こっちに来る前にトップリーグのビデオを見てきたり、ラグビー理解力も高いので楽しみにしています。
パナソニックから移籍した野口選手は、プレー面はもちろんなんですが、目標にしている「倒したいチーム」から来てくれたので、パナソニックがラグビーにどう向き合っているのか、アティチュード/態度や考え方を若い選手たちに伝えてもらえること等にも期待しています。
その他、大卒新人の五十嵐選手は大学のリーグ戦ベスト15に選ばれていますよね。PRというポジションですが非常に機動力があると思っています。今我々がやっているラグビーというのは非常に高いスキルを求めていきますので、彼の持っているセットピースだけでなく、フィールドプレーの強みなどは楽しみですね。
荒井選手は、SHとしてはサイズも大きく、ラグビーセンスが際立っている、ラグビー偏差値が高いと思っています。パスも伸びるので、我々がやりたいラグビーの武器になるのではないかと思っています。大学時代の殻をどうやぶれるか、どこまでファイティングスピリットをだせるかが楽しみです。
上原選手はラグビーに対する取り組み姿勢が素晴らしいです。うまくなりたいという気持ち(向上心)がとても強いように思います。フィジカルの強みを、TLでも通用するように伸ばしていってもらいたいです。

新シーズンの戦い方についてお聞きしたいです。15試合総当りとなることが昨シーズンとどう違ってくるのか、面白いところはどんなところでしょうか?

永友洋司監督

― 今シーズンはここ2年続いたファーストステージの戦い方、セカンドステージの戦い方、というのではないですよね。まあ言って見ればファーストステージが15試合になったって感じです。一試合一試合が大切で、一つも落とせないです。特にウインドウマンスまでの、10月までの戦い方がとても重要だと思っています。長いシーズンの前半戦に昨年のトップ4との対戦があるので、そこで何勝できるかが大事なポイントになるはずです。また約1ヶ月あるウインドウマンスでの調整も大きなポイントになるはずです。
2ステージ制のようにゼロクリアにならないので、本当に一つ一つの積み重ねが大事です。

選手たちの意識に変化はあるのでしょうか?

永友洋司監督

― そうですね、昨年後半くらいから選手たちは今まで以上に自発的になってきたと感じています。自分の経験からも、こうなってくるとチームというのは良い方向に動き、ますます強くなれると思います。どちらかといえば、それまでは言われたことを素直にこなす感じがありましたが、最近は、特に今シーズンに入ってから、自分たちからこうしたいああしたいと言ってくるようになっています。自分たちでいろいろと考え、発言してくることは大変いいことだと思います。発言するということは責任も生まれてくるのですが、それだけ責任を意識してくれるように、成長してくれているのだと思います。ただ言うだけでなく、言ったことに責任がともなうことは忘れてはいけないと思います。そして責任がともなうことを自覚すると、選手として、人間として成長するのだと思います。

監督は選手の自発的な意見を受け入れますか?

― 受け入れますよ。まずやってみなさいというスタイルです。責任感かがついて来れば成長です。自分も選手時代には自発的に発言し、失敗し、責任を取り、またチャレンジする、の繰り返しでしたから。そういう過程を経て成長すれば良いんだと思います。自分たちが何とかしなければ勝てないと、選手たちが自発的になるということは本当に大きいこと、キヤノンイーグルスのチーム文化を作る上でも本当に大切なことだと思います。
パナソニックさん、東芝さんなど強いチームはそういうことを経験してチャンピオンチームになっているはずです。仲良しチームになったら勝てないと思います。本気で討論する、けんかになってでも本音で言い争う、そういうチームになってほしいと思っています。私が選手時代を過ごしたサントリーさんでも、選手同士はもちろん、スタッフとも意見をぶつけ合い、勝つためにこうしたいという意識は強かったですね。
今シーズンのスタートを切ったばかりですが、そんなムードを選手たちから感じました。うれしいです。

今年の目標など、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

永友洋司監督

― パナソニックさんに勝ちたい、これは僕の素直な気持ちです。パナソニックさんという素晴らしいチームに勝ちたいと、僕だけでなくスタッフ、選手全員が思うチームにしたいと思っています。そしてそれを越えた先に日本一があるのでないかと思っています。何とかパナソニックさんに勝てるチームを作り上げ、その先にある日本一を目指して行きたいです。
昨年のラグビーワールドカップでの日本代表の活躍により、ラグビーが新しい時代を迎えているのは事実だと思います。ラグビー人気が高まっていると実感します。この火を消さない、もっと大きなものにすることがラグビー界に求められていることだと思います。ラグビーの人気を高めるためには、何よりも良いラグビーをすることが大事です。今年がワールドカップ後2年目になりますが、今年の持つ意味は大きいと思っています。できれば微力ながら日本のラグビー界をさらに発展させるような活動をやって行きたいし、そのためにまずトップリーグに所属するキヤノンイーグルスというチームを強くして、良いラグビーを大勢の方々に見ていただきたいと思っています。
イーグルスのファン、サポーターのみなさんには感謝の気持ちしかありません。毎年毎年応援に来ていただいて本当に感謝しています。今年もまた応援をお願いしますというのは同じなんですが、あえて言わせていただければ今年は「もう一人誰かを誘って会場に来てください」とお願いさせていただければと思います。会場で生の迫力を感じ取っていただくことがラグビーのファンになっていただくための一番の近道だと思っています。ですからラグビーファンのみなさん、もう一人誘って会場に来てください。そうすれば必ずファンが増えます。贅沢なお願いかと思いますが、よろしくお願いします。みなさんの応援が選手たちの大きなエネルギーになります。みなさんの期待にこたえられるよう今シーズンも全力でぶつかって行きたいと思います。応援をよろしくお願いいたします。

永友洋司監督

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