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スタッフインタビュー

2022年1月4日 | 沢木敬介監督 リーグワン開幕直前インタビュー

「逃げずに立ち向かっていくチームになれれば結果はついてくる」

トップリーグラストイヤーからリーグワン元年へと移行する日本ラグビーの大転換点においても、その信念、姿勢が変わることはない。横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督にとって横浜キヤノンイーグルスでの2年目の指揮となる今季は、昨季の8強を上回る結果が求められるシーズンとなる。

全16節、そして上位4チームによるプレーオフトーナメントと、昨季より圧倒的に長い期間のシーズンを戦い抜く必要性も踏まえつつ、沢木監督が選手たちに求めているのはどのようなことなのか。春から進めてきた強化策、無敗で終えたプレシーズンマッチの手応えなどについて話を聞いた。
(取材日:2021年12月21日)


── プレシーズンマッチ無敗と、開幕に向けて好調です。手応えはいかがでしょうか。

「昨シーズンよりはよくなっているのではないでしょうか。現状の先発15人であれば、ある程度いいラグビーができると思います。ただシーズンは長いので、そのためにも選手層を厚くしていく必要があります」

── そのためか、プレシーズンマッチでは極力多くの選手を起用しようという意図が見られました。

「一貫性を持って力を発揮できる選手なのかどうかを見極める必要がありますし、そのために試合ごとにメンバーを入れ替えてきました。先日の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦(12月18日。△19-19)はもちろん、東芝ブレイブルーパス東京戦(12月11日。○43-12)もその点を意識していました。今度のリコーブラックラムズ東京戦(12月24日。取材時点では試合前。○43-22)開幕前最後のプレシーズンマッチになるので、開幕に向けた準備に特化することになると思います」

── ラインアウトモールからのトライがプレシーズンマッチでは目立ちました。公式戦でもストロングポイントとなりそうでしょうか。

「確かに何本かいいトライが獲れていますが、プレシーズンマッチから公式戦に入ってから獲れてこそ自分たちの本当の武器と言えるようになると思うので、強みにすることができるようにトレーニングを続けていくだけだと思っています」

── FWに関連して、セットピースの手応えはいかがでしょうか。

「スクラムは昨シーズンよりはよくなっています。ラインアウトも安定はしてきていると思いますが、僕らはトップ4を倒すためのスタンダードを身に付けなければなりませんので、改善するポイントはまだまだあります」

── モールなどでFWがトライを獲るケースが増えている一方で、WTBを中心にBKもトライを量産しています。その点は狙い通りでしょうか。

「相手のスペースにしっかりとアタックし、そこでキック、パス、ランから正しい判断をして、ボールをそのスペースへ動かしてチャンスメークし、トライを獲る。それが自分たちのラグビースタイルです。ですから、あらゆるオプションでトライが獲れていることはいい傾向だと思っています」

── 11月5日から12日までセカンダリーホストエリアである大分県で合宿を行いました。どのような目的と成果があったでしょうか。

「素晴らしい環境の中で、ラグビーやチームビルドも含めて本当に充実したキャンプになりました。その結果がプレシーズンマッチに表れていると思います」

── 今季は「THE TEST」というスローガンを掲げ、キヤノンスポーツパークにも大きな「THE TEST」の横断幕が掲げられています。どのような意味合いを込めた言葉でしょうか。

「いろいろな意味で試されるシーズンになる、ということです。テスト(本番)の前段階でいい準備ができていれば、それまでの不安は自信に変わります。そのテストを楽しめるぐらいのチームになっていかないといけない、そのような意味合いです」

── 昨シーズンを特にどの点で上回っていきたいと考えていますか。

「もちろんすべてにおいてですが、本当に勝つチームになるには、やはりマインドを変える必要があります。チーム全体がマインドの面で大きく変わらなければならないですし、すでに少しずつ変わってきています。ただ、人間の習慣はそう簡単には変わりませんので、本当に変わろう、本気で目標に向かおうとするには劇的な変革が必要です。その意味でも今シーズンは大きなチャレンジになるのではないでしょうか。ラグビー自体に関して言えば、今のトレーニングをしていけば必ず向上していけると思っています」

── プレシーズンマッチは大差の勝利が目立ちましたが、試合から選手のマインドの変化は感じられたでしょうか。

「大きく勝っている試合は接戦の試合とは違うので、戦術は別としてメンタルの面ではまだまだではないでしょうか」

── シーズン序盤から初のホストゲームとなるコベルコ神戸スティーラーズ戦(第2節・1月15日/日産スタジアム)、そして埼玉パナソニックワイルドナイツ戦(第3節・1月23日/熊谷ラグビー場)など、昨シーズンは勝てなかった強豪との対戦が続きます。そのあたりはすでに意識されているのでしょうか。

「我々は一戦一戦ベストな試合をしていくだけだと思っていますので、シンプルに目の前の試合を全力で戦うことが大事だと考えています。それは公式戦でも練習試合でも同じことです」

── 開幕戦の相手、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)とは12月3日(土)にプレシーズンマッチで対戦しています。67-12という圧勝でしたが、その開幕戦にはポジティブな影響を与えそうでしょうか。

「それはあくまでプレシーズンマッチでの結果です。また、どのチームと対戦するということはあまり大事ではないと個人的には考えています。自分たちがやろうとしていることができているかどうかの確認の方が大事です。対戦相手がどこか、勝つか負けるか、ということはあまり気にしていません」

── 快勝したNECグリーンロケッツ東葛戦と東芝ブレイブルーパス東京戦は、チームとしてやろうとしていることができたプレシーズンマッチだったと評価されていますか。

「もちろん評価できるところと、まだまだ改善しないといけないところがそれぞれあります。改善すべき点は、すべてにおいて言えることですが、やろうとしていることを遂行する能力ですね。そして現状に満足することなく進めていくことが大事だと考えています」

── やろうとしていることを遂行できれば、公式戦でもプレシーズンマッチのような快勝は可能だとお考えでしょうか。

「やってみなければわかりませんが、僕らは自分たちのラグビーを信じてやっていきます」

── 沢木監督は2シーズン目の指揮となりますが、昨シーズンから大きく方針を変えた点があればお教えください。

「ラグビーは日々進化していますし、レフリングも変わりますので、柔軟に対応していく必要があります。ですから『ここを変えよう』というよりは、『すべてにおいて常に今よりもよくなろう』ということですね。そういう気持ちは持っています」

── 選手にもそのような姿勢は見られるようになりましたか。

「昨シーズンに比べたら変わってきましたが、まだまだではないでしょうか。もっと貪欲な気持ちを持っていなければならないですし、もっとそういう選手が増えていかないといけません。我々コーチ陣がそのように鼓舞して促しているわけではなく、選手が意志を持って行動していると感じています」

── そういった選手の代表格でもあるSO田村優キャプテン、HO庭井祐輔バイスキャプテンが今シーズンもチームを牽引します。彼らにはどのようなことを期待していますか。

「昨シーズンと変わらず、パフォーマンスでしっかりとインパクトを与えてチームを引っ張ってくれることを期待しています」

── コーチも選手に負けじとハードな日々を送られていますか?

「各コーチ、非常にハードワークしてがんばっています。2年目の佐々木隆道、1年目の宇佐美和彦らイーグルスのアシスタントコーチは若いのですが、私がコーチ1、2年目の頃には想像できないぐらいの仕事をこなしています。コーチがしっかりハードワークしていなければ選手にハードワークを求めることなどできません。我々は選手に高い要求をするだけのいい仕事をしようとみんなで話しています。コーチ陣だけでなく、スタッフ全員がそうでないといけないと思っています」

── 最後に、今シーズンの目標をお願いします。

「明確に、(プレーオフトーナメント進出権が得られる)トップ4の壁を崩すということです。『4強の壁』はどんなスポーツにも存在します。それを崩せるだけのチームにならないといけません。そのために春からトレーニングをしてきました。プレッシャーがかかる試合でも逃げずに立ち向かっていく、そういうチームになれれば結果はついてくると思っています。そうなれるようにみんなで成長していきたいと思います」


ターゲットは4強、すなわち第16節終了時点での上位4チーム入りだ。昨シーズンまで挑戦しては跳ね返されてきた4強の高い壁を崩すには、選手、コーチ、スタッフ全員によるハードワークが必要となる。

プレシーズンマッチの結果からも開幕前の準備は万全に見えるが、沢木監督をはじめとするコーチ陣にも、そして選手たちにも慢心は一切ない。今回のインタビューで「順調」という言葉を不用意に使うことを沢木監督は嫌ったが、そこに現状に満足してはいけないという今シーズンのイーグルスの姿勢が見て取れると言えよう。

記念すべきリーグワン1年目、イーグルスがその歴史に名を刻む準備は整いつつある。

(インタビュー&写真撮影:齋藤龍太郎)

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