前節同様、前半のリードをキープして今季初の3連勝!2016年の最後の試合を勝利で飾る
秩父宮ラグビー場、午前11時半キックオフという前節と全く同じスケジュールで行われた第13節。相手は、イーグルスとは勝ち点1差(勝ち点24で11位)のクボタスピアーズ(以下クボタ)。天気は良かったが、メインスタンドから見て左から右へ強い風が吹く中で試合が行われた。 前半、風上に立ったイーグルス。この日もBKの動きが良く、前半4分に先制トライを奪う(ゴール成功で7-0)。その後、SOジャンクロード・ルースの60mPGで3点を追加。さらにその5分後、ラインアウトモールを押し切ってトライ。前半34分にPGで3点を返されるも17-3で前半を折り返した。 後半も、開始直後からイーグルスが猛攻。開始1分、ノーホイッスルトライを奪い24-3とリードを21点に広げた。しかし、10分過ぎごろからクボタの気迫に押される展開に。「前半は良くても、後半何故か失速する」という悪い癖が出てしまい、じわりじわりと追いつめられる。後半は、クボタにボールを支配される時間が続いたが、前半の貯金(リード)がものを言い、何とか踏ん張り、勝利を手にした。 マン・オブ・ザ・マッチには、27点中17点(1トライ、1PG、3ゴール、1DG)を獲得したルースが選ばれた。
前半
今やイーグルスのお家芸!? 開始4分で先制トライ
ここ数試合、「試合の入り」が素晴らしいイーグルス。この日も開始4分、FBウィリー・ルルーが抜け出し、CTB三友良平、WTB橋野晧介とBK陣が細かいパスをつなぎ、最後はフォローしていたルースがインゴールに押さえて先制(ゴール成功で7-0)。その後は、クボタも猛攻を繰り広げたが、前に出るディフェンスで相手の攻撃を食い止めるという安定した守りで大幅な前進を許さず。逆に15分、自陣10m付近で得たPK(ゴールポストまで約60m)を「70mのPGを入れたことがある」と豪語する“キック自慢”ルースが決めてリードを広げた。
今季初の布陣で挑んだFWも大健闘
この日は、1番・東恩納寛太、2番・庭井祐輔、3番・山路泰生、4番・日高駿、5番・アニセ サムエラ、6番・植松宗之、7番・コーリー・トーマス、8番・嶋田直人と、FW陣はいつもと違うメンバー構成だったが、この新生FW陣も大健闘。スクラムを優位に組み、クボタの強みであるブレイクダウンでも一歩も譲らず、生きたボールをBKに供給し続けた。また、前半20分には、相手陣5mで得たラインアウトでも巧みにモールを押し込み、最後は日高駿が押さえてトライを奪った。左隅からのルースのゴールも決まり17-0とリードをさらに広げたイーグルス。前半34分に1PGを返されたが、相手をノートライに押さえるなど、ほぼ完ぺきな出来だった。
後半
後半も入りは良かったのだが…
前節は、後半の入りが悪かったイーグルだが、この日は後半も好スタートを切る。ボールを持つと必ず何かをしてくれるルルーが相手の背後を伺い前進し、走り込んできたトーマスに絶妙のパス。ボールを受け取ったトーマスも見事なランを見せ、内側にいたCTBティム・ベネットにパス。ベネットがインゴールに飛び込み、後半1分、ノーホイッスルでトライを奪った(ゴール成功で24-3)。しかしこのトライ以降、徐々にクボタがペースをつかみはじめる。クボタのミスもあり、得点は動かなかったが、イーグルスがディフェンスに回る時間が次第に多くなった。
25分と36分にトライを奪われるもルースのDGで突き放す
イーグルスとしては勝ち点5を確実なものにするためにもなんとかもう1トライを欲しいところだったが、後半20分を過ぎたあたりから、それまで精度の高かったタックルも決まらなくなり、25分、相手ウイングに右隅に飛び込まれる(ゴール不成功で24-8)。さらに36分、前半イーグルスがトライに結び付けたラインアウトモールをやり返され、追加点を奪われる(ゴール成功で24-15)。残り4分で9点差。ファンを少しハラハラさせたが、試合終了間際、「相手ディフェンスが上がってこないのを知っていた」というルースがゴールほぼ正面からドロップゴールを決めて試合の決着をつけた。勝ち点5は奪えなかったものの3連勝を飾ったイーグルス。新年明けてからの残り2試合も大いに期待したい。
次戦は、2017年の1月8日(日)、秩父宮ラグビー場でNTTドコモコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)と対戦します。NTTコムは、今季8勝5敗、勝ち点36。現在、勝ち点29で9位のイーグルスとしては、順位を上げるためにも何とかしてものにしたいゲーム。ぜひスタンド真っ赤に染めて、熱い声援を送ってください。
●初のマン・オブ・ザ・マッチに輝いたSOジャンクロード・ルース

10番としてできるだけゲームをコントロールしたいと思っていましたが、前半は上手くいきました。FWを前に出せたし、ボールも継続できました。風下になった後半も、どういうキックを使えばいいかを考えながらやったんですが、やはり風下は難しい。なかなか思い通りにはいきませんでした。ただ、今日は長い距離のPGやドロップゴールが決まるなど、自分の強みを存分に出せた試合。私にとってはベストゲームだったと思います。
●バイスキャプテンとして声を張り続けたFL植松宗之

今日は疲れました。特に風下に回った後半、厳しい戦いを強いられました。そんな中で勝利を手にできて本当に良かったです。自分自身はシーズン序盤、ケガもあって試合に出られず悔しい思いをしてきただけに、今はがむしゃらに戦っているという感じです。今シーズンはバイスキャプテンという役割を与えられたわけですが、それに関しては、キャプテンの庭井の考えを僕自身が理解して、庭井を中心としたみんなのベクトルが同じ方向に向くように、具体的なアドバイスを送り続けるのが自分の役目だと考えています。今、チーム内のまとまりも非常に良くなっているので、あと2試合もこの調子でいきたいと思います。
●イーグル初先発で攻守にわたって貢献したFLコーリー・トーマス

初のスターティングメンバーでフル出場できたことはとても自信になりました。自分のいいところも出せたと思います。「今日一」のプレーは、ルルーからボールをもらってティム(ベネット)にパスしてトライにつなげたランですね。足はそんなに速くないと思いますが(笑)、いいコースを走ってゲインができました。自分ではもっといいプレーができると思っているので、これからもチャンスがあれば、チームの勝利に貢献できるよう頑張りたいと思います。
●今季初先発でトライもマークしたLO日高駿

今季初先発ということで少しプレッシャーはありましたが、プレーヤーとしてフィールドに立てるというのは最高の喜びですから、思い切ってプレーをしました。全体的に見て、今日はFWも頑張ったと思います。クボタさんが得意とするブレイクダウンでも、一度もめくられることはなく、マイボールをキープできましたから。今日はラインアウトのコーリング(サイン出し)も担当したのですが、前半20分のラインアウトからのモールトライは会心のプレーでした。一方、相手にも後半同じ形でトライをとられてしまったのは残念でした。
●開幕戦以来、全ての試合に出場しているLOアニセ サムエラ

今日の試合も勝てて良かったです。FWメンバーに直前変更がありましたが、日頃から控えの選手達が全力で練習していることを知っているので、誰が入っても大丈夫だと思っていました。イーグルスに来て、トップリーグでプレーして、日本代表にも選ばれて、この一年でとても大きな変化がありました。今シーズン、試合に出場し続けていますので疲れがないと言えば嘘になりますが、一週間あきますので、新年の2試合に向けてコンディションを整えます。今日はこの後、いつも暖かく応援してくれている大切な家族と楽しい時間を過ごせると思います。