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選手インタビュー

2020年11月26日 | 男子SDS(男子セブンズ日本代表候補)中川和真選手 インタビュー

■「トライを決めるよりもトライにつながる"気の利くプレー"で貢献する」

中川和真選手

2019年のラグビーワールドカップ日本大会を境に、格段に注目度が高まった7人制ラグビー。2021年開催予定の東京五輪の正式競技「セブンズ」で、中川和真はその男子日本代表候補である「男子SDS(セブンズ・デベロップメント・スコッド)」の一員として、そして同時にキヤノンイーグルスのWTB/FBとして日々研鑽している。

五輪延期の影響もあり、現在はどちらの練習も並行して行われている。中川はその両方の練習に参加しているが、7人制と15人制を両立していくことは決して容易なことではない。五輪という大舞台に立つこと、さらにはメダル獲得という大きな目標に向かう上で、男子SDSにかかっている重圧も相当なものだろう。

しかし、今回インタビューに応じた中川の表情は終始明るく、充実感を携えていた。その両方に全力で取り組むことで、さらなる成長を実感しているというのだ。7人制と15人制の"二刀流"がもたらしている効果とはどのようなものなのか。そして彼を突き動かしている原動力とは何なのか。数々の質問に対し、中川は真摯に答えた。
(取材日:2020年11月5日)



■ラグビーというスポーツが自分にとっていかに大事なものか痛感している

中川和真選手


──イーグルスは沢木敬介新監督のもと7月から始動しました。昨季から変化はありましたか?

より多くのことを学ぶようになりました。10年以上ラグビーをやってきましたが、新たに学ぶことや今まで気づかなかったことなどがあり、本当に勉強になっています。状況に応じてどこを見るか、どういうふうにボールをもらうかといった、基本をより突き詰めたことを教わっていますので、学びになると同時に自分の成長にもつながっていると感じています。

──選手個々だけでなくチーム全体がいい方向へ進んでいるようですね。

はい。チームとして考えることが増えたと思いますし、チームがやりたいこと、やろうとしていることに対して一人一人がコミットする姿勢が見えます。僕自身もラグビーを今まで以上に見るようになりましたし、ラグビーについて考える時間が昨季以上に増えました。

──チーム内の雰囲気も良くなっていますか?

そうですね。いろいろな意見を出し合うことができています。監督に「こういうふうにしたいのですが、どうでしょうか?」と僕たち選手から質問すると必ず答えを返してくださいます。「こうやれ」というマニュアルを押し付けられるのではなく、選手の意見もスタッフ陣の意見も両方取り入れられていますので、それによってチームとしての一体感が生まれてきていると思います。

中川和真選手


──新キャプテンの田村優選手とはどのようにコミュニケーションを取っていますか?

日本で一番上手い選手がチームにいることは本当にラッキーです。最近はわからないことがあれば聞くようにしていますし、一緒に練習させてもらうことが自分の成長にもつながっていると感じています。どういう考えでラグビーをやっているのか、どういう試合を見ているのかなど、すべてが勉強になっています。

──中川選手は3シーズン目を迎えました。今季は特に成長を実感されているそうですが、具体的に成長したと思うポイントをお教えください。

数字で見える部分としては特にフィットネスが上がっています。そしてそれ以上に実感しているのが、ラグビーについて考える時間が増えたことです。それまではただ楽しくやってきたラグビーというスポーツが自分にとっていかに大事なものであるかあらためて痛感し、ラグビーに対してさらにコミットできています。それが自身の成長につながっているのだと思います。

■橋野さんの分もがんばり "橋野二世"になれるように努めたい

中川和真選手


──イーグルスの練習と並行してセブンズの合宿にも参加されています。

15人制は特に基礎が大事です。もちろん7人制もそうなのですが、15人制の相手との間合いの近さはやはり基礎が試されます。イーグルスで練習してからセブンズ合宿に臨むと15人制よりも間合いがある分スキルが生きてきますし、セブンズではフィットネスやラン、リアクションの早さなどが鍛えられ15人制にも生きてくるので、僕にとっては両方とも自分の成長につながっています。

──男子SDSの一員としてのご自身の武器、また課題があればお願いします。

僕には爆発的なスピードもなければ、ずっと走り続けていられるほど十分なフィットネスもあるとは言えません。それらはいきなり身につくものではありませんので、地道に取り組んでいかなければならないと思っています。また、今後やっていきたいのは"気の利くプレー"です。トライそのものよりもトライという結果のきっかけになりたいのです。注目されるのはトライした選手かもしれませんが、「一連のプレーを振り返ると中川が起点だったよね」と言われるような、あまり注目されないものの重要な鍵となるプレーをしていきたいと思っています。もちろんそういうプレーをする力がまだ足りていませんので、イーグルスでの15人制の練習でスキルを上げ、セブンズではフィットネスを強化し、そのサイクルの中でいい判断ができるように練習を重ねて、"気の利くプレー"をしていきたいと考えています。

──東京五輪の開催が1年延期されることになった時、モチベーションの面で難しくなるなど何か影響はなかったでしょうか?

僕はむしろチャンスだと考えました。昨年11月からセブンズに関わらせてもらい、世界のトップチーム、トップ選手との差を感じていたのですが、結果的に準備期間が長くなったことで自分が何をすべきが明確になりました。イーグルスの先輩でもある橋野皓介さん、リオ五輪時のキャプテンだった桑水流裕策さんが代表を離れたことはもちろん寂しいのですが、東京五輪への出場を目指す上で可能性が広がりましたし、自分にとっては大きなチャンスだと思っています。

──やはり橋野選手の存在は大きかったですか?

中川和真選手


はい。ずっとセブンズに関わってきた橋野さんとは私生活でも仲良くさせてもらってきました。「セブンズをやりたい」と思っていた僕にとっては尊敬し目標にしてきたプレイヤーですので、代表からいなくなってしまったことはもちろん寂しいのですが、橋野さんが決めたことですので尊重しなければなりません。ワールドラグビーセブンズシリーズで一緒に出場することができた最初で最後の大会となったオーストラリア大会(今年2月1日・2日)はいい思い出です。橋野さんの分もがんばりたいですし、できれば"橋野二世"になれるように努めていきたいと思います。

──また、もともとセブンズのチームメイトだった松井千士選手がイーグルスに移籍してきました。心強いのではないでしょうか?

千士さんは僕が初めてセブンズ合宿に参加した時のルームメイトでした。年齢も近く、共通の話題ができたことで一気に仲良くなりました。普段は優しいのですがゲームに入ると人が変わり、ハートの熱さがいつも伝わってきます。ピッチでも「俺が勝負する!」という気迫を感じますね。僕が初めてメンバーに入った南アフリカ大会(昨年12月13日~15日)では、僕が初経験のポジションに入ってあたふたしていると「ボールをよこせ!」とフォローしてくれました。信頼できる先輩ですし、何でも話しやすい兄貴のような存在です。イーグルスのチームメイトとして、千士さんと一緒に東京五輪に出場してメダルを目指したいと思っています。

──ちなみに、その「共通の話題」とは何でしょうか?

アイドルグループの「NiziU」を生んだオーディション「Nizi Project」です。僕も千士さんも初期からずっと見ていて、一緒にハマっていたのでよく連絡を取り合っていました。そういうラグビー以外の話題から仲良くなったことでご飯に連れて行ってもらうようになりましたし、オン、オフ問わず交流させてもらっています。

■僕を見て「小さくても世界で戦う手段がある」と思ってもらいたい

中川和真選手


──その松井選手は、前回のインタビューで金メダルの獲得を目標に掲げていました。

僕としても金メダルを獲って、セブンズを日本に広めたいです。そして、僕個人としては地元の函館で高校、大学への進学を目指している若いラグビー選手たちに夢を与えたいと思っています。函館はラグビーが盛んではないので、競技を続けるかどうか迷っている子たちにはぜひ進学してもラグビーを続けてほしいですし、「僕ができたんだから、みんなもがんばればできるよ!」ということを伝えていきたいです。

──愛する地元、函館のラグビーの発展を願っているわけですね。

はい。「いつかあんな選手になりたい」と思ってもらうことが僕の夢です。「函館を出て、今もセブンズ日本代表候補としてがんばっているよ」ということを知ってもらえるだけでもうれしいですね。また、僕は体が大きい方ではないので、全国の体の小さい選手にも「生きる道はあるよ」ということをどんどん伝えていきたいですし、「小さくても世界で戦う手段があるんだ!」という考え方に切り替えてもらえればうれしいです。

──今はセブンズに集中されていますが、イーグルスにおける中川選手の将来的なビジョンをお聞かせください。

いつかは7人制と15人制のどちらかに絞らなければいけなくなる時が来るかもしれませんが、今は絞るという考えはありません。7人制も15人制もそれぞれ違った楽しみがありますし、両方に取り組んでいることが僕自身の成長につながっています。また、選手としては代表に招集されている期間こそ華だと思いますので、今のように呼ばれているうちは代表に行かせてもらいたいですし、7人制と15人制のどちらからも求められる存在になりたいです。僕にとっては両方含めてラグビーですから、いずれに特化はせず、どちらにも力を入れてやっていきたいと考えています。

──トップリーグ2021シーズンの翌年開幕予定の新リーグがイーグルスにおける次のターゲットとなりそうですね。

今後のセブンズのスコッドとの兼ね合いもありますが、もちろん15人制でもチャレンジし続けたいですし、7人制でもさらに上のレベルを目指したいので、今後も両方とも全力で取り組んでいくつもりです。


イーグルスとセブンズ、その両方があるからこそ成長できていると何度も強調した中川和真。男子セブンズ日本代表として最高の結果を残すことで、地元の若いラガーたちにいい影響をもたらしたい、という思いも明かした。

自分が主役を張ることよりもチームのトライにつながる"気の利くプレー"を志し、自身キャリアだけでなく次世代の台頭も同時に強く願う中川。すべてはチームのために。すべてはラグビーのために。そのように言い表せる彼の姿勢は、ラグビーという競技に対する深い愛に他ならない。

東京五輪のピッチでそのラグビー愛を存分に表現する中川の勇姿は、多くのファンの胸を打つことになるだろう。

(インタビュー&構成:齋藤 龍太郎)

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