横浜キヤノン イーグルス 公式サイト

Menu
新しい情報を知る

スタッフインタビュー

2020年8月11日 | アリスター・ロジャースDFコーチ 就任インタビュー

■すべては「ラグビーを愛している」という思いから

20200811_01.jpg

来たるシーズンに向けてあらゆる面での成長を期するキヤノンイーグルスは、新ディフェンスコーチとしてウェールズ出身のアリスター・ロジャース氏を迎え入れた。

ニュージーランド代表ではアナリスト、スーパーラグビーのブルーズではディフェンスコーチを歴任したほか、記憶に新しい昨年のラグビーワールドカップ日本大会ではサモア代表のディフェンスコーチとして日本代表などの強豪と対戦。ニュージーランドをはじめ常にインターナショナルレベルの舞台で知見を深め、優れた分析力、指導力を発揮してきた。

新型コロナウイルスの影響で来日はしばらく先になる見通しだが、オンラインで欠かさずミーティングを行っている沢木敬介新監督も「ニュージーランドならではのディフェンスに関する考え方をいろいろと持っている」と期待を寄せるロジャースコーチ。勝つ上で欠かすことのできないディフェンスについて、彼はそのクオリティをどのようにして上げていきたいと考えているのだろうか。

これまでの経歴等も含め、オンラインで話をうかがった。
(取材日:2020年7月13日)


■選手やスタッフと関係性を築いていくことが大事

20200811_02.jpg

──就任発表時のコメントに「永友洋司GMのクラブのビジョンが明確だった」とありました。まずは就任に至った理由、動機からお願いします。

「ラグビーのチームに関わる時、まず大事なのが『チームとしてどういうところに行こうとしているのか』だと私は考えています。永友GM、沢木監督とその点について話をさせてもらった時、非常に明確なビジョンを伝えていただきました。『時間をかけてどのようなことを達成していきたいのか』という説明も受け、私としても非常にわくわくする内容でしたので、ぜひイーグルスに加わりたいと思うに至りました」

──オールブラックスのアナリスト、ブルーズやサモア代表のディフェンスコーチを歴任されてきました。その他の主なコーチングキャリアについても教えてください。

「オールブラックスのアナリスト時代はスーパーラグビーのハリケーンズにも関わらせていただきました。そこで自分の知識を広め、チームがシーズンを戦っていく中で選手たちの助けになることができました。スーパーラグビーに5、6年も関わらせていただき非常に恵まれていたと思います。同時に、コーチをする中で本当にいい人たち、いい選手たちと関わりながらいろいろなことを学び、特に『ウイニングカルチャー(勝つ文化)とはどういうものか』、『いいパフォーマンスをするためにはどうしたらいいか』を理解する機会が与えられてきたのも大変幸運なことだと思っています」

──ご自身のコーチングスタイルやポリシーをお聞かせください。

「選手やスタッフと関係性を築いていくことが大事だと思っています。たとえば、選手たちに関して言えば『どういう学び方をしていく選手なのか』、『どのような表現をする人間なのか』をこちらからよく理解し、関係性を築いて、選手たちが持っているポテンシャルをできる限り引き出す流れを作る。そのような形でチームを助けられればと考えています」


■常にラグビーへの興味、探究心を持ってやってきた

20200811_03.jpg

──ウェールズご出身ですが、これまでウェールズは優れたアナリストを多数輩出しています。やはりそのような文化、風土がウェールズには根付いているのでしょうか?

「たしかにウェールズには優れたアナリストを送り出す素晴らしいプログラムがありますが、私に関して言えば、最初は選手としてラグビーに関わり、その後コーチへと転身する流れの中でアナリストを経験しましたので、そのケースには直接当てはまらないと思います。ただ、選手時代からいろいろなことを分析しながらプレーするタイプでしたし、常にラグビーという競技に対しての興味、探究心を持ってやってきたという思いはあります」

──分析するタイプだったという選手時代のキャリアについても確認させてください。

「2000年頃、ウェールズが9チームほどのプロチームでシーズンを開催していた時期にプレーしていました。何年もの間選手として過ごしていましたがケガをしてしまい、シーズンを続行できなくなり選手を引退しました」

──そんな現役当時の分析の経験が今に生きているのでしょうか?

「すべては『ラグビーを愛している』という思いから始まっています。もっとこのスポーツのことを知りたい、という気持ちを持って取り組み、やがてアナリストを任せてもらうことになり、ウェイン・スミス氏(元ニュージーランド代表アシスタントコーチ、ヘッドコーチ。現神戸製鋼総監督)をはじめいいコーチと出会うこともできました。その過程でさらにラグビーに対する興味が広がっていき、今に至っています。加えて、姉やいとこなど親族に教師が多く、私自身もコンピューターの授業を教えていた経験がありますので、人に何かを教えていくことへの情熱は持っていると自負しています」

──これまでの経験や知識をどのようにイーグルスの指導に活かしていきたいと考えていますか?

「私は多くの知識を持っていますが、『どのように教えていくか』よりも『イーグルスの選手、スタッフがどれだけ学んでいけるか』にかかっていると思っています。選手、スタッフがそこからもっといい選手に、またいい人間になっていくために、いかに助けてあげられるかだと私は考えています」

■一貫性を持った無駄のないパフォーマンスを

20200811_04.jpg

──日本についてはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

「日本のみなさんも日本人の文化も大好きです。私が日本で落ち着いたら追って来日する予定の家族は日本に来たことがないので私が話している範囲のことしか知らないと思いますが、これから多くの時間を過ごして日本の文化を知っていければと考えています」

──日本のラグビーについてはどのように捉えていますか?

「日本は昨年のラグビーワールドカップのホスト国として、多くの支援を受けながら素晴らしい成功を収めました。だからこそ、今年はこれまで以上にいい選手、いいコーチが日本に集まるようになっています。トップリーグはそういった意味でも変化していますし、より強く、より良いリーグになってきていると思います。ここからさらにエキサイティングなリーグになっていくことでしょう」

──その中でイーグルスが戦っていく上で、特にどのような点を改善していきたいと考えていますか?

「ファンデーション(基礎、土台)は出来上がっていると思います。いい選手も揃っていますので、あとは選手、コーチが足並みを揃えて同じ認識で事を進めていくのが重要です。そして家族、ファン、会社のために一貫性を持った無駄のないパフォーマンスを見せることが大事になりますので、それができればさらに誇りに思ってもらえるチームになると考えています」

──ディフェンスコーチとして、ディフェンスシステムの落とし込みが先決なのか、それとも選手の特性やポテンシャルを見極めた上でディフェンスを徐々に整備していくのか、そのあたりはいかがでしょうか?

「すでにチームの映像を見ていますので、イーグルスとしてどういうディフェンスをすべきかというアイデアは持っています。あとは、そのアイデアに対して選手たちがやる気を感じるような方向に持っていければいいと思いますし、役割が明確になっている状態で試合に送り出せればいいと考えています」

──まだ来日は叶わず、現在はミーティングもオンラインに限られていますが、その中でも手応えを感じていますか?

「もちろん理想的な状況ではありませんが、この状況を変えることはできませんので、まずはコーチングスタッフと連絡を取りながら進めていき、徐々に選手たちにも情報を流していきながらオンラインで関係性を築いていきます。私が日本に着いた時にはすぐにいろいろなことに取り組めるように準備をしていきたいと思っています」

──沢木監督をはじめコーチ陣と良好な関係を築けている実感はありますか?

「徐々にいい関係性を構築できていると思います。もちろんオンラインミーティングのみでいい関係性を築いていくのは非常に難しいですし、可能であればコーヒーや冷たいビールでも飲みながら関係性を築いていければと思っていますが、今はこの状況下でできる限りベストを尽くして取り組んでいるところです」



豊富な指導経験と分析力、そしてディフェンスに関する多彩なアイデア。その根底にあるのは深いラグビー愛であり、さらにラグビーを深く知りたいという飽くなき探究心がコーチとしての成長の原動力となってきた。

ロジャースコーチの指導はディフェンスの強化のみならず、ラグビーをとことん追求する姿勢までをも選手たちに植え付ける可能性を秘めている。果たしてチームにどのような変化をもたらすのか、今後もぜひ注目していきたい。

(インタビュー&構成:齋藤 龍太郎)

JRFU(財団法人日本ラグビーフットボール協会)
JAPAN RUGBY LEAGUE ONE オフィシャルサイト
TOP LEAGUE オフィシャルサイト
▲TOP

- Official Partner -



 

- Host Area Partner -


- Media Partner -


JRFU(財団法人日本ラグビーフットボール協会)
JAPAN RUGBY LEAGUE ONE オフィシャルサイト
TOP LEAGUE オフィシャルサイト