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2015.08.05
GAME

7月31日(金)ブルー・ブルズとの試合レポート

南アフリカを代表するチームとのドリームマッチ
結果は完敗だったが、得たものは計り知れない

ついに夢の一戦が実現した。「カリーカップ プレミアディビジョン」で23回の優勝を誇り、「スーパーラグビー」にも参戦する南アフリカの強豪、ブルー・ブルズ(※/以降、ブルズ)とキヤノンイーグルスとの一戦。「町田ワールドマッチラグビー」と名付けられたこの一戦をひと目見ようと、町田市陸上競技場には5,000人を超える観客が詰めかけた。

キヤノンのキックオフで始まった試合は、開始直後からブルズペース。汗で滑るボールの扱いに手こずることもあったが、パワフルな突進でボールを確実に前に運ぶ。山本、庭井という2人のフッカーが負傷し、スクラムがノーコンテスト(押し合いなし)になるという予期せぬできことがあったが、攻めるブルズに対してキヤノンも善戦。前半はブルズを2トライに抑え(前半3-14)、後半に望みをつないだ。

しかし、前半のボディブローが効いたのか、後半もブルズペース。点差が開き始めてからは、ブルズBK陣の動きも軽やかになり、キヤノン防戦一方。ブルズの強さを見せつけられる試合となった。(後半0-36、計3-50)

※スーパーラグビーに参戦している「ブルズ」は、ブルー・ブルズを母体としたチーム

前半

ブルズお得意のラインアウトモールで先制

序盤はブルズにゲームを支配された。前半6分、自陣ゴール前5mの相手ボールラインアウトからモールを作られ、あっさり押し込まれてしまう。(0-7)ジャンパーのFLラプスカフニがキャッチしたボールをFLステフマンが受け取り、スルスルとモールの最後尾に下がってきれいなモールを形成。キヤノンとしてはなすすべがなかったというべきか。20分には、自陣20m付近から連続して縦を突かれ、最後はPRフレイリングにゴールラインを割られた。(0-14)

しかし、20分ごろからキヤノンが徐々にペースをつかみだす。ベテラン、HO山本の負傷退場(庭井と交代)というアクシデントはあったが、「ファースト・スクラムからこちらがコントロールしていた」(LO菊谷)というスクラムでブルズFWにプレッシャーをかける。21分にはラックを押し込み、ハンドを誘ってPKを獲得。CTB三友が右45度・40mのPGをきっちり決めて3点を返した(3-14)

ところが、26分、キヤノンを悪夢が襲う。ジャッカルに入ってノットリリースザボールの反則を勝ち取った庭井が、このプレーで足を負傷。フッカー不在という事態に陥った。庭井の代わりにPR山路がフッカーのポジションに入るが、「専門家以外にやらせるのは危険」とのチームの判断で、スクラムは「ノーコンテスト」(押し合いなし)に。「ブルー・ブルズを唯一、あわてさせられるとしたらスクラムだと考えていただけに、2人のフッカーの負傷はかなりこたえました」(永友監督)

後半

見習うべき点が多かった執念のディフェンス

後半に入ってからも、ブルズのシンプルだが力強い攻撃は止まらず。キヤノンも三友、カウフシの両センターを中心に低く鋭いタックルで対応したが、ラインを下げられてはオフサイドの反則を取られるという繰り返しで、次第に防戦一方に。

そんな中で見せ場をつくったのは、FL嶋田。16分、相手陣10m付近で得たPKから判断よくクイックタップで突進。ブルズを大いに慌てさせた。22mを超えたところで形成されたラックから素早く左に展開。タッチライン際でパスを受けたFBボンドがラインの背後にボールを落とし、そのボールを再びキャッチ。あとはインゴールに抑えるだけというところまでいったが、不運にも汗でぬれたボールが手からこぼれてトライにはならなかった。その後、敵陣左サイド5mのスクラムから縦攻撃で相手ゴールに迫るもあと一歩のところで阻止されてしまった。

チャンスを逃した後は、再びブルズに主導権を握られてしまう。20分過ぎからは、余裕が出始めたブルズのBK陣に翻弄され、トライの山を築かれる。キヤノンも26分、センターライン右サイドのスクラムから左に展開。SO森田のクイックパスでWTB菅谷が裏に出かかるというシーンがあったが、ブルズCTBオデンダールが背後からの好タックルで阻止。「国内の試合なら完全に抜けているプレー。あれが止められてしまうのは、やはり世界レベルということなのでしょうね」(菅谷)

最終的なスコアは、3 - 50。キヤノンはノートライだったのに対し、8本のトライを奪われた。結果は完敗だったが、選手たちからは、「手応えはあった」、「絶対に勝てない相手じゃない」と強気な発言も。ブルズ戦で見つかった課題をトップリーグ開幕までに克服することで、また、ブルズ戦で得た自信を胸に、さらなる飛躍を遂げることを期待したい。

試合後の記者会見に臨んだ永友監督と三友ゲームキャプテン

監督・選手インタビュー

永友監督

「ブルー・ブルズという素晴らしいチームと戦うことができた選手たちを羨ましく思いますし、最後まであきらめずにプレーをしてくれた彼らに感謝をしています。ブルズに関しては、予想通り強いチームでした。特にゴールラインを背負った時のプライドが高く、簡単にはゴールを割らせてくれない。あれが世界のレベルだと思うし、今後、我々が磨いていかなければならない部分だと思います。少し心残りだったのは、スクラムがノーコンテストになり、スロワー不在でラインアウトも思い通りに行かなかったこと。それが敗戦の理由だと言うつもりはありませんが、試合前、セットピースで勝負するというゲームプランを立てていたので、前半で2人のフッカーを欠いてしまったことは非常に残念でした。」

三友ゲームキャプテン

「世界でも有数の強豪チームと試合ができたことに幸せを感じています。ブルズは単に体が大きいというだけでなく、強くてしつこいチームでした。特にブレイクダウンの部分では、国内で戦っている相手なら一発ではがせるところでも、しつこく絡まれるなど、なかなか思うようにさせてくれませんでした。ただ、そのブレイクダウンで我々の力が出せた場面もいくつかあったので、それはそれで評価したいと思います。今日の試合に関しては、相手のプレッシャーもあってミスを連発し、自分たちのプレーができませんでしたが、必ず、今日の経験を来るべきシーズンに活かしたいと思います。」

ノーサイド後にジャージを交換し記念撮影に収まる両チームの選手
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