今シーズンのジャパンラグビー トップリーグ2015-2016シーズンがいよいよ開幕です。キヤノンイーグルスは初戦、ユニバー記念競技場(兵庫)で神戸製鋼コベルコスティーラーズと対戦します(13時キックオフ)。
今シーズンから新システムに取り組んできたイーグルスですが、春のオープン戦、プレシーズンと試行錯誤を繰り返しようやく公式戦に間に合いました。一人一人が動きを理解し、チーム全体で攻守を機能させるために必要なものが身につきました。
各ポジションで熾烈な競争が発生した結果、ポジションを勝ち取った選手は自信をもってこの試合に臨みます。
ルーズヘッドPR(1番)には東恩納が新人ながら出場します。帝京大学時代はタイトヘッドPR(3番)での出場が多かった東恩納ですが、もともとはルーズヘッドPRの選手です。スクラムワーク、フィールドプレーでの成長が認められての出場です。
HO(2番)庭井、PR(3番)城との第一列は安定したスクラムを見せてくれるでしょう。また庭井のラインアウトスローにも注目です。
セカンドロー(FW 2列目、LO(5番、6番))には菊谷と宇佐美が入ります。菊谷はバックロー(FW 3列目、FLとNo.8)からのポジションチェンジですが、強い押しでスクラムを支えます。視野の広さでFWをリードしてくれるでしょう。
ジャパンキャップを獲得した宇佐美は昨シーズンから体が大きくなりました。ラインアウトでのジャンパーとしても安定したキャッチを見せていますが、ブレイクダウン*1、ボールキャリーでも存在感を発揮してくれるはずです。
ブラインドサイドFL(6番)はRWCから帰ってきたアイブスがつとめます。ワークレイト*2の高さ、地道なボールへの絡みでFWの前進に寄与します。そしてオープンサイドFL(7番)は嶋田です。低いタックル、ポイントへの集散からジャッカル*3のチャンスをうかがいます。
No.8(8番)はトップリーグ3シーズン目を迎えるトムソンです。身体能力をフルに使ったプレーはアタック、ディフェンス両方の場面で生かされます。ボールキャリアーとして目立ちますが、二手先、三手先を見通した判断でチームを有利に導いてくれます。今シーズンは更にバージョンアップしたプレーを見せてくれるはずです。
SH(9番)は天野が入りFWとBKのつなぎを行います。的確なボールさばきでテンポよくBKを動かしてくれます。またブレイクダウン時のサイドアタックに対するディフェンスでは体を張ったタックルで敵の攻撃を防ぎます。
SO(10番)にはキャプテンの橋野が入ります。昨シーズンの怪我から復帰し本来のスピードと切れが戻りました。スペースがあればスピードで相手を抜き去る場面も見られるでしょう。ラインコントロール*4にも期待がかかります。
インサイドCTB(12番)は三友です。この数シーズン鉄板のCTBとしてイーグルスに貢献してくれています。彼の安定したプレーはチームに信頼をもたらします。プレスキックの精度は昨年以上の確率を狙います。
アウトサイドCTB(13番)にはこちらもおなじみベネットが入ります。ジャパンにも招聘され厳しいトレーニングを積み重ねバージョンアップしました。大きなストライドでラインブレイク*5してチャンスを作り出します。
WTBには小野澤(11番)と森谷(14番)が出ます。昨シーズンは怪我で苦しんだ小野澤ですが、今は完治し本来のランプレーが無理なくできるようになりました。全盛期のプレーが期待できます。一方の森谷はバックスリー(WTBとFB)で研鑽してきました。チャンスでボールをもらうとトライを取りきります。キックの処理とハイパントでの競り合いの場面が見られるでしょう。
FB(15番)にはイーグルスに完全フィットしたボンドが入ります。一瞬でトップスピードに入り相手を置き去りにするランプレーはトライシーンを何度も演出しました。ボンドがボールを持つシーンが多ければ多いほどチャンスは広がります。
リザーブにはそれぞれ勢いをもたらすメンバーが名を連ねます。メンバーチェンジのタイミングにも注目したいところです。
この試合、FWはがっぷり四つで展開しそうです。互いの得意な展開に持って行けた方が先取点を奪うでしょう。
イーグルスは粘り強くフェイズを重ねチャンスをうかがうことが大切です。神戸製鋼は個人技で勝負を仕掛け、キックを有効に使用してゲインしてくるでしょう。ディフェンスが破綻すれば大きくゲインされてしまうため、我慢強くタックルし続けなくてはいけません。
前半は様子を見ながらの我慢比べ、後半は一気にトライを取る展開が予想されます。
注目のウィリー・ルルーは後半に投入されるでしょう。どんなプレーで局面を打開してくれるか期待したいところです。その場面がいつ来るか目を離さないでください。
シーズン初戦、新しいイーグルスにご期待ください。みなさまの熱い応援をよろしくお願いします。
ブレイクダウン*1 :ボールを持っている選手が相手にタックルを受けて倒された時に、双方の選手が集まって行うボールの奪い合い
ワークレイト*2 : タックルに行く回数、バックアップに戻っている回数、ポイントに参加する回数、ターンオーバーする回数など、運動量の豊富さ
ジャッカル*3 : タックルして倒れた選手からボールを奪うファインプレー
ラインコントロール*4 :バックス陣のアタック・ディフェンス時の体勢を指示すること
ラインブレイク*5 :アタック時に相手のディフェンスライン(防御網)を破ること
■メンバー
NO | 氏名 | 出身校 | 身長 | 体重 | 年齢 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 東恩納 寛太★ | 帝京大学 | 178 | 116 | 22 |
2 | 庭井 祐輔 | 立命館大学 | 174 | 100 | 24 |
3 | 城 彰 | 明治大学 | 178 | 114 | 27 |
4 | 菊谷 崇 | 大阪体育大学 | 187 | 104 | 35 |
5 | 宇佐美 和彦 | 立命館大学 | 197 | 112 | 23 |
6 | アイブス ジャスティン | Taieri High School | 193 | 105 | 31 |
7 | 嶋田 直人 | 立命館大学 | 183 | 98 | 24 |
8 | Adam Thomson | Christchurch Boys' High School | 196 | 112 | 33 |
9 | 天野 寿紀 | 帝京大学 | 170 | 80 | 25 |
10 | 橋野 皓介(キャプテン) | 同志社大学 | 176 | 83 | 27 |
11 | 小野澤 宏時 | 中央大学 | 180 | 85 | 37 |
12 | 三友 良平 | 日本大学 | 177 | 92 | 28 |
13 | Tim Bennetts | Pennant Hill High School | 183 | 92 | 25 |
14 | 森谷 直貴 | 法政大学 | 180 | 87 | 24 |
15 | Michael Bond | North Brisbane RC | 179 | 96 | 27 |
16 | 金子 大介 | 慶應義塾大学 | 175 | 98 | 27 |
17 | 菅原 崇聖 | 同志社大学 | 175 | 110 | 28 |
18 | 山路 泰生 | 神奈川大学 | 180 | 105 | 30 |
19 | 日高 駿 | 明治大学 | 190 | 110 | 25 |
20 | Karl Lowe | Hurricanes | 181 | 103 | 31 |
21 | 福居 武 | 大阪体育大学 | 177 | 82 | 25 |
22 | 和田 拓 | 慶應義塾大学 | 176 | 84 | 27 |
23 | Willie le Roux★ | Paul Roos Gymnasium High School | 186 | 90 | 26 |
★は新加入選手