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2023.11.27
INTERVIEW

LO/FLレキマ・ナサミラ選手インタビュー

LO/FLレキマ・ナサミラ選手インタビュー

「ただ相手をスマッシュするだけ」

圧巻だった。11月11日(土)キヤノンスポーツパークで行われたコベルコ神戸スティーラーズとのプレシーズンマッチで、イーグルスに加入して間もないLOレキマ・ナサミラ選手は豪快なランとフィジカルの強さを生かし、見事ハットトリック(3トライ)を決めた。

東海大学時代は主にFLとして出場し関東大学リーグ戦1部でトライ王に輝いた期待のフィジアンは、すでにイーグルスで存在感を示している。彼に視線の先にあるのは「世界」。そしてその前にリーグワンでの活躍を目指している。

憧れの舞台を夢見る24歳のルーキーが、開幕を前に静かに自身の思いを語った。


■ゴール前でチャンスが来たらトライを獲りたい

──リーグワン1年目のシーズンを迎えていますが、イーグルスで元々知り合いだった選手はいますか?

「NO.8シオネ・ハラシリやCTBヴィリアメ・タカヤワとは大学時代から交流がありました。でも初めて会った選手たちともいいコミュニケーションが取れています」

──東海大学で活躍後イーグルスに加入して、環境が大きく変わりました。どんなところに変化を感じていますか?

「特にフィットネスの面で刺激を受けています。コミュニケーションの面も非常にレベルが高いですね。いつでも試合の映像を見ることもできますし、そのような環境、施設など、すべてにおいて大学とは違います。ラグビーのペースの速さも段違いです」

──東海大学では主にFLでプレーしていましたが、イーグルスでは今のところLOでの出場が中心ですね。

「FLとしてやってきましたが今後何があるかわからないので、その時のためにもLOもできるようにしておく、という理由と、自分自身LOをやりたいという気持ちがあったことから、今はLOでプレーしています」

──高いレベルでLOでのプレーを経験していますが、手応えはいかがでしょうか?

「たとえばラインアウトではリフトやディフェンスを任せられるようになったので、そのあたりは成長できているのかなと思います」

──ボールキャリーやフィジカルの強さは以前から得意としてきたところですね。

「はい。そこが自分のメインの見せ場だと思っています」

──11月11日のプレシーズンマッチ、コベルコ神戸スティーラーズ戦ではハットトリックを決めました。東海大学でもトライを量産していましたが、やはりトライを決めたいという思いは強いですか?

「スクラムからボールキャリーでトライを獲ることを毎回目標にしています。東海大学時代もそうでしたが、今もいい感触でプレーできています。イーグルスはアウトサイドBKの選手がトライを獲ることが多いチームですが、FWの自分もゴール前でチャンスが来たらトライを獲りたいという思いを強く持っています」

──イーグルスにはLOにもFLにもいい選手が揃っていますが、プレシーズンの段階で先発を勝ち取っています。

「ライバルは多いですが、開幕戦から先発出場したいです。そのためにも、ラインアウトの理解を徹底すること、あとはタックルを磨いていきたいです」

■プレータイムが増えるほど成長につながる

──先日もワールドカップが開催されたばかりですが、やはり母国フィジーの選手、チームのプレーには心が躍りますか?

「はい。小さい頃からいつかフィジー代表でプレーしたいと常に思っていました。先日のワールドカップでも元気をもらいました。がんばったら、あの場所に行けるんだなと思いました。今後は誰が代表に選ばれるかわかりませんが、とにかく自分はがんばるだけです」

──やはりフィジーの白いジャージーを着たいという思いが強いのですね。

「今はフィジー代表でも日本代表でも、どちらでも準備ができています。最近、フィジー代表に関してはヨーロッパでプレーしている選手だけではなく日本でプレーしているフィジアンからも選ぶ方向になっているので、その中に入れたらうれしいですね。リーグワンで勝って(選手間の)競争にも勝って、そうなればいいと思っています。そのためにもイーグルスで先発または23人のメンバーに絶対に入ることをターゲットにしています」

──ナサミラ選手はリーグワンでカテゴリーA(日本代表資格がある選手)としてプレーできます。出場機会が増える可能性が高いと思いますが、やはりチャンスととらえていますか?

「はい。カテゴリーAで出場できるのでうれしいです。プレータイムが増えるほど成長につながると思っています」

──世界のトップ選手とプレーすることもナサミラ選手にとって大きな変化だと思います。

「一緒にプレーできるのは単純にうれしいです。LOマシュー・フィリップはいろいろ指摘してくれるので、成長につながっています。すべてが学びになります。」

──そしてまもなく、ワールドカップを連覇した2人の南アフリカ代表選手が合流します。ポジションは違いますが、どういうことを学びたいですか?

「まず、どういうことをチームにもたらしてくれるのか見てみたいです。特にSHファフ・デクラーク選手はクイックなテンポで試合を組み立てるので、そのプレーを間近で見てみたいですね。彼らは代表選手ですが、自分も彼らと同じレベルでプレーしないといけないと思っています。もっともっと展開が早くなると思いますので、もちろん楽なことではありません」

──ご自身もトップ選手を目指してさらにレベルアップし、トップギアで開幕を迎えられそうでしょうか。

「そうなるように最善を尽くします」

──最後に開幕戦の相手、埼玉パナソニックワイルドナイツについてはどういうイメージを持っていますか?

「いい選手がたくさんいるチームですが、関係ありません。相手のことよりも自分たちのことばかり考えています。ただスマッシュ(撃破)するだけです」


ナサミラ選手にとってのロールモデルは、祖国フィジーの代表選手たちだ。ワールドカップで躍動した彼らの姿を自身の今に重ね合わせ、いつか同じ舞台に立つことを夢見ている。そのジャージーの色は白か、赤と白の段柄か。それは今後のパフォーマンスと巡り合わせ次第だろう。

自身の夢を叶えるためには、イーグルスでレギュラーの座を掴み勝利に貢献し続ける必要がある。そしてプレシーズンからその兆しを見せている。ピッチの中央を堂々と突破する彼の雄姿が、チームの象徴になる日もそう遠くはないかもしれない。

(インタビュー:齋藤 龍太郎)

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