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2026.04.08
INTERVIEW

LO/FLゲリット・オクカース選手 インタビュー

「日本に着いた瞬間からリーグワンの選手が一番の目標」

南アフリカ出身で、山梨学院大学出身という異色の経歴の23歳が横浜キヤノンイーグルスへの仲間入りを果たした。LO/FLゲリット・オクカース。南アフリカからリーグワンのレベルに直接飛び込んでくる選手は多いが、大学からというケースはまだまだ希少だ。彼はなぜそのようなキャリアを選び、挑戦し続けているのだろうか。

単身、故郷のダーバンを飛び出し、夢であったリーグワンの一員となった青年のチャレンジが始まった。

(取材日:3月10日)


■ 新しいことを学び新しい文化を体験するために日本へ

── 南アフリカのどちらのご出身でしょうか?

「ダーバンです。南アフリカ代表LOエベン・エツベス選手、SHグラント・ウィリアムズ選手らが所属しているシャークス(ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ)の本拠地ですね」

── 南アフリカ代表といえば、FLピーターステフ・デュトイ選手(トヨタヴェルブリッツ)がお好きだそうですね。

「はい。尊敬しています。同じポジションなので彼のいいところを見習っています。対戦するチャンスがあるかもしれませんし(※FLデュトイ選手は今シーズン長期離脱中)、実現すればとても幸せな瞬間になると思います」

── 山梨学院大学に入学されたころにはFLデュトイ選手をはじめ多くの南アフリカ代表選手が日本に来ていました。それが来日の動機の一つになったのでしょうか?

「それもありますが、とにかく新しいことを学ぶのが最優先でした。あえて(文化の違う)居心地のよくない場所に身を置いて新しい文化を体験、というチャレンジをしに日本にやって来ました」

── 文化の違いを織り込み済で来日されたわけですが、最初は生活に苦労しませんでしたか?

「初めはすごくタフでしたが、日本の方々がみんな優しく接してくださいました。日本語が未熟な私を言葉の面でもフォローしてくれました」

── 同じく南アフリカ出身のCTBジェシー・クリエル キャプテンは年々日本語が上達しています。

「本当に上手ですよね。今は一緒に日本語を勉強しているわけではないのですが、今後はそういう機会もあるかもしれません」

── イーグルスに合流したのはいつごろですか?

「1月19日に来ました。みんなあたたかく受け入れてくれて、とてもうれしかったです」

── すでに仲よくしている選手はいますか?

「FL/NO.8アミニアシ・ショー選手やFL/LOジャンドレ・ラブスカフニ選手とはよく話をしています。SHファフ・デクラーク選手もとても優しくしてくれますし、尊敬する日本人選手のアキさん(LO秋山大地選手)やクボさん(LO久保克斗選手)とも深い関係性があります」

── CTBジェシー・クリエル キャプテンとSHファフ・デクラーク選手という南アフリカの英雄と一緒にプレーできることについて、どう感じていますか?

「特別な気持ちですね。彼らから直接学べる機会をいただいていることは幸運です。ポジションは異なりますが、いいプレーをいかに多くできるかを同じプロのラグビー選手として学べますし、文化の面でも彼らから多くのことを学んでいます」

── イーグルスのLO/FLは層が厚く、試合に出るためには激しい競争を勝ち抜く必要があります。

「それがハードワークする理由になっていますし、『これからももっと成長していこう』という意欲につながっています」

■ 強みはラインブレイクとスピード&サポートラインを走るプレー

── ラグビーを始めたのはいつごろですか?

「7歳です。ダーバンに限らずラグビーとクリケットは南アフリカ全体で国技と言えるほど盛んなので、そういう環境でした。父がラグビーを始めさせてくれてラッキーでしたね」

── 当時から南アフリカ代表は憧れの存在でしたか?

「7歳のころから代表選手を見ていて、自分もいつかそのような選手になりたいと思っていました。かつてはSOやFBをやっていたので、SOパット・ランビー選手が好きでした。特にキックのスキルが素晴らしかったです。彼が南アフリカ代表として出場した2015年のラグビーワールドカップの日本代表戦(南アフリカ32-34日本)はショックでしたが、日本のラグビーがその位置まで進んだという革命的な瞬間だったと思います」

── 高校までは南アフリカでプレーされていましたが、いずれはカリーカップなど国内最高峰のステージでプレーすることも考えていたのでしょうか?

「高校のころまではカリーカップが夢でしたが、日本に行けるチャンスが来たので自分にとってはそれが一番いい選択だと思いました」

── 大きな決断でしたが、山梨学院大学での4年間で得た収穫はどんなものでしたか?

(写真:本人提供)

「タフな状況のなかで日本の文化を知りましたし、日本のスピードのあるラグビーとプレースタイルを学びました。南アフリカはもっとスピードが遅いのでいい経験になりました」

── 当初からリーグワンを意識していましたか?

「そうですね。日本に着いた瞬間からリーグワンの選手になることが一番の目標でした。大学時代にはリーグワンや一部の大学の試合の映像をよく見ていました」

── イーグルスへの加入が決まったときはどんな気持ちでしたか?

「本当にわくわくしました。その吉報に圧倒されてしまうくらいの気持ちでしたが、今こうしてこの場にいることができてとても光栄です」

── イーグルスのラグビースタイルについてはどう感じていましたか?

「加入前から映像を見てきましたが、やはりイーグルスのプレースタイルが好きです。特にアンストラクチャーになったときにこぼれたボールを使ってトライまで持っていくのが素晴らしいですね。私の強みはラインブレイクとスピード、そしてサポートラインを走るプレーだと思っていますので、そういうところでイーグルスのラグビーに貢献できると思っています。その理想形が尊敬するアーディ・サベア選手(コベルコ神戸スティーラーズ/ニュージーランド代表)であり、自分も彼のようにすべてを出し切るハードワークぶりとラインブレイクを見せられるようにしたいです」

■ サポーターからいただいた愛をお返ししなければ

── レオン・マクドナルド ヘッドコーチやアシスタントコーチからはどんなことを求められていますか?

「私のプレーをさらに強化して、強みをどんどん出せるようにすることを要求されています」

── 練習で刺激を受けている選手はいますか?

「よく話をしているFL/LOジャンドレ・ラブスカフニ選手からはよくフィードバックをもらっています。FL/NO.8シオネ・ハラシリ選手にも刺激を受けていて、彼のようなプレーができたらと考えています」

── まずはリーグワン公式戦デビューが目標ですね。

「はい。早くファーストキャップをとりたいです。一方で、じっくりと成長してからデビューしたいという思いもあります。矛盾するようですがどちらも優先したいです。今はとにかく自分のパフォーマンスを上げることが大事だと考えています。初出場がいつになるかは読めませんが、ハードワークしながら学んでいけばそのチャンスはきっとやってくると思います」

── 南アフリカ出身の選手がリーグワンでの活躍を経て日本代表になるケースが増えています。

「いつか日本代表でプレーしたいと思っています。ジャパンは私にとっての大きな目標です」

── すでに何度か交流があると思いますが、イーグルスのサポーターについてどのように感じていますか?

「本当に温かいサポートをくださる方々ばかりで、ありがたい気持ちでいっぱいです。ニッパツ三ツ沢球技場でみなさんに挨拶したときもそう感じました。新たに加入した我々4選手のことを受け入れてくれたことに感謝しています。いただいた愛をお返ししなければ、と考えています」


南アフリカ代表選手に囲まれ刺激を受けながら、リーグワンでワールドクラスのプレーヤーとの対戦を心待ちにしているLO/FLゲリット・オクカース。目標は日本代表と夢は大きい。しかしその前に憧れの選手たちとの対戦を実現させ、存在を世に知らしめることが先決だろう。

23歳の青年が躍動する日が待ち遠しい。

(取材・文/齋藤龍太郎)

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