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2025.10.07
INTERVIEW

FL/NO.8 サウマキ アマナキ 選手 インタビュー

様々なことを学んできたこの場所がホーム

横浜キヤノンイーグルスでBKからFWに転身してその才能を開花させ、その後はコベルコ神戸スティーラーズで3シーズンを過ごしたFL/NO.8アマナキ サウマキが待望のイーグルス復帰を果たした。

全体練習がスタートした9月、キヤノンスポーツパークで元気に練習するその姿は、これまで以上にいきいきとしているように見えた。

2023年には日本代表に選出され、同年のラグビーワールドカップで2試合に出場するなど、一段と大きく成長した彼の現在の心境とは。そしてイーグルスでどのような強みを発揮していきたいと考えているのか。慣れ親しんだクラブハウスで、笑顔で取材に応じてくれた。

■プレッシャーがかかる状況でもプレーできるという自信がついた

── 最初に、イーグルスに復帰した今の気持ちをお願いします。

「こうして戻ってくることができて、とてもハッピーです。初めてプロになったチームですし、日本語、文化など様々なことをこの場所で学んだので、やはりここがホームだという気持ちが強いですね。今はNO.8でプレーしていて、他の選手たちと互いに高め合っているところです」

── イーグルスでWTBからFWに転向しましたが、沢木敬介前監督から勧められたと聞きました。

「そうですね。トンガ時代にもバックローを経験していたのですが、日本ではWTBとしてやってきて、沢木さんの勧めでFWに戻るチャレンジをしました。ただ、FWとしては体が軽かったので(体重を増やすことも含め)ハードなチャレンジになりました」

── イーグルスでFWとして成長した後、2022-23シーズンにコベルコ神戸スティーラーズに移籍しました。

「移籍した理由はいくつかあるのですが、トップリーグ時代の神戸との試合で、神戸のラグビースタイルが好きになりました。環境を移せばもっと成長できるのでは、と感じて移籍を決断しました」

── FWとして「いけるな」と感じたのはいつですか?

「この瞬間、というのは正直なところ心当たりがないのですが、公式戦で最初にLOをやったとき(トップリーグ2021リーグ戦第5節のリコーブラックラムズ戦)ですね。実際に試合をしたことで自信がつきました」

── 日本代表を意識し始めたのもこの時期でしょうか?

「そうですね。最初に代表に選ばれたときはすごくうれしかったのですが、まだ体が代表レベルに達しておらず『これで準備万端』と言えるほどの自信はありませんでした。ケガもしていたのでナーバスになっていました」

── どのような取り組みをして代表にアジャストしたのでしょうか?

「やはり体重を増やすことを強く意識しました。トレーニングがものすごくハードだったので体重を増やすのはかなり難しかったのですが、とにかくたくさん食べて、たくさんトレーニングしました」

── その結果、2023年8月のイタリア戦で日本代表デビューし、その直後にはラグビーワールドカップに出場しました。

「とても緊張しました。初戦のチリ戦の週はずっとナーバスでしたが、ピッチに立ったときには『夢がかなった』と思い、試合が始まったら『もうラグビーするだけだ』というマインドにすぐに変わりました」

── チリ戦で先発出場した後、イングランド戦とサモア戦は出番がありませんでしたが、アルゼンチン戦はリザーブに入り途中出場しましたね。

「日本代表として(決勝トーナメント進出がかかった)大事な試合でした。先発もリザーブも関係なく、みんなそれぞれに重要な仕事があったので、自分の役割に集中していました。勝てるチャンスはありましたが、いくつかのミスが敗因になりました」

── ワールドカップを経験したことでご自身に何か変化はありましたか?

「自信がつきました。プレッシャーがかかる状況でもプレーできるという自信ですね。それはスティーラーズでも生きたと思っています」

■全員がしっかり連係することを意識している

── スティーラーズは昨シーズン、3位という結果を手にしました。あらためてどんなシーズンでしたか?

「チームとしてはすごくいいシーズンになりました。個人的にはケガが多かったので残念でしたが、チームはシーズン序盤からものすごくいい状態で、今のイーグルスと同じように『優勝する』という強い気持ちを持ちながら戦い、3位でフィニッシュすることができました」

── スティーラーズ時代、イーグルスと対戦するときはどんなマインドだったのでしょうか?

「絶対に負けたくない、と思っていました」

── 移籍前から仲がいい選手はどなたでしょうか?

「まずはイーグルス加入同期の康植(SH荒井康植)ですね。そしてPR岡部崇人、HO庭井祐輔、SH天野寿紀とも仲がよく、また一緒にプレーできるのがうれしいです」

── 慣れ親しんだイーグルスで、サウマキ選手自身のどんなところを前面に出していきたいですか?

「やはりフィジカルですね。アタックとディフェンスの両方でそういった強みを見せていきたいです。また、FL/NO.8ビリー・ハーモンのワークレートがすごいと感じていて、いい刺激になっていますので、自分もハードワークしていきたいと考えています」

── 全体練習の開始からまだ日が浅いですが、シーズンのスタートとしていい感触を感じていますか?

「はい。新しいコーチも入ってきて、新しいアイデア、新しいラグビーを選手たちも楽しみにしているので、すごくポジティブな雰囲気になっていると感じています」

── これまで数々の名将のコーチングを受けてきましたが、レオン・マクドナルド ヘッドコーチの指導についてはどのように感じていますか?

「レオンのストラクチャーのプレーのところはすごく好きで、自分としてもアジャストしやすいと感じています」

── 昨シーズン、イーグルスはリーグ戦8位という結果でした。今はどういうところを改善したいとチームとして考えているのでしょうか?

「もちろん昨シーズンと比べてかなりのハードワークをしないといけないのですが、全員がしっかり連係することを意識しています」

■ボールキャリー、強いディフェンス。ワークレートを見てほしい

── かつてイーグルスにはお兄さんのWTBホセア・サウマキ選手がいました。

「兄とイーグルスでラグビーをした時間は特別なものでした。引退したわけではないものの、今は家族とオーストラリアにいるので兄と一緒にプレーするのは難しいのですが、同じピッチに立ってプレーできたことはいい思い出です」

── 日本代表になり、ワールドカップにも出場したアマナキ選手のことをお兄さんは応援してくれていますか?

「はい。ずっと『君は日本代表になれる』と励ましてくれていたので、実際に選ばれたことを喜んでくれましたし、自分もとてもうれしかったです」

── アマナキ選手がイーグルスにいたときから応援してくれているサポーターの方々もたくさんいます。

「『おかえり』と言ってくれた方もいて、すごくうれしかったです。この場所に戻ってきたことにあらためて喜びを感じています。

── そんなサポーターのみなさんにどんなプレーを見せたいですか?

「ボールキャリー、強いディフェンス。あとはワークレートを見てほしいです。『ナキ』と呼んでもらいながら応援してもらえるとうれしいですね」

── イーグルスでいいパフォーマンスをして、また日本代表でプレーしたいという思いがあるのではないでしょうか?

「今はもちろんイーグルスに集中していますが、個人としてはそう考えています。再び選ばれるためにはフィジカル面とゲームフィットネスを上げていく必要がありますので、これからもがんばっていきたいです」


特にここ数年、個としてもチームとてもたしかな結果を残し、年々自信を深めてきたFL/NO.8サウマキ アマナキ。古巣のイーグルスに戻った今もぬかりなく研鑽し続けており、それが愛する「ホーム」イーグルスをさらなる高みへと押し上げることにつながるはずだ。

日本代表復帰も見据える「ナキ」のパフォーマンスから目が離せない。

(取材・文/齋藤龍太郎)